King Gnuの「傘」です。4作目のシングル曲でブルボン「アルフォート」のCMソングにもなっています。アルバム「CEREMONY」の収録曲ですね。こちらもぜひ聴いてみてください。では、いきましょう!
キー:B♭メジャー
(♭2つ)
イントロ

イントロ全体
リズミカルなギターストロークが印象的な部分。コード進行については次項のサビ(冒頭)で解説します。
サビ(冒頭)
1〜2小節目
Gm→Cm→F→B♭:Ⅵm→Ⅱm→Ⅴ→Ⅰ
6251進行です。これは1625で有名な循環進行を並び替えたコード進行です。Ⅵmから始まっていますね。4度上→4度上→4度上→..という風に規則性を持った進行(強進行)が続くことで成り立っています。
3〜4小節目
A7→Dm→B7→E7:Ⅶ7→Ⅲm→♯Ⅰ7→♯Ⅳ7
ディグリー(コード度数)をキー:B♭メジャーで記載していますが、ドミナントモーションする形になっているので部分的に転調していると考えた方がわかりやすいかもしれません。A7→Dmの部分はキー:Dマイナー、B7→E7の部分はキー:Eメジャーに部分的に転調しています。キーに関してもかなり唐突なキーへの転調になっています。
なぜこのようなコードが使用されたのかよくわかりませんが、独特の不協和音感があり、ミステリアスな印象を与えていると思います。
メロディ:「どしゃ降りだよ..傘も持たずにどこへ行くの..」
「どしゃ降りだよ..」の部分にC♯音とE音が使用されています。これはどちらもDハーモニックマイナースケールの音です。ここからも部分的にキー:Dマイナーに転調していることがわかります。
「傘も持たずにどこへ行くの….」の部分もコード進行に合わせた音(B音とE音)が使用されています。どちらもEメジャースケールの音ですね。
Aメロ
Aメロ全体
Aメロで転調しています。キー:B♭メジャーから、♭が1つ増えているのでキー:E♭メジャーです。
1〜4小節目
Cm→B♭→A♭△7→B♭→Bdim:Ⅵm→Ⅴ→Ⅳ△7→Ⅴ→♯Ⅴdim
ダイアトニックコード中心のコード進行です。最後のBdimコードは前後のコード進行を半音で繋ぐ経過音(パッシングディミニッシュ)です。
8小節目
Bdim→G♭dim:♯Ⅴdim→♭Ⅲdim
ここのG♭dimはBメロの冒頭のGmにつながる経過音(パッシングディミニッシュ)です。
メロディ:「コーヒーを流し込め」
G♭dimの部分のメロディは、コンビネーションディミニッシュやオルタードスケールのような音使いですかね。これらのスケールは〇7や〇dimのようなドミナントの性質(不安定)をもつコードと相性が良いスケールです。


Bメロ
Bメロ全体
Bメロで楽曲のノリが変化して3連符よりになっているので注意してください。また、ここでもう一度、転調してキー:B♭メジャーに戻ります。
1〜2小節目
Gm→F6:Ⅵm→Ⅴ6
F6コードの部分ですが、D音が強調されている気がするので6thコードにしました。通常のFコードよりこちらの方がよく馴染むと思います。メロディにもD音が使用されていますね。
4小節目
Am7(♭5)→D7:Ⅶ(♭5)→Ⅲ7
ここは次の小節のGmコードに向かうツーファイブワン進行ですね。キー:Gマイナーとして一瞬だけ転調したという風に考えるとわかりやすいです。
サビ
サビ全体
メロディ、コード進行ともにサビ(冒頭)と同じです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
楽曲の印象としては全体的にミステリアスな感じですよね。これはノンダイアトニックコードが多用されていることが要因です。また転調やノリの変化などといった様々な仕掛けも施されていました。
このような楽曲をCMソングのタイアップ曲でリリースする辺りがすごいですね。「自分達の音楽スタイルは貫く」みたいな信念を感じるような曲でした。
参考になれば幸いです。
では!
CD、バンドスコア