今回は、誰もが知っている有名曲である「ねこふんじゃった」について紹介していきたいと思います。(作者は現在でも不明とされています)
ピアノを習ってない人も弾けることが多いこの楽曲ですが、実は、音楽の基本がぎっしりつまっているんですよね。これについてわかりやすく紹介できたらなと思います。
※本記事では勝手にパート分けしていますので、一般的なものではないということだけお見知りおきください。
では、いきましょう!
ねこふんじゃったは難しい!?
まず「ねこふんじゃった」の楽譜を見てみましょう。
実はこの楽曲、調号がたくさんあって「かなり、嫌ーっ」な楽曲なんですね。♭6つということで、キーはG♭メジャー(変ト長調)になっています。
しかし、このおかげでほとんどが黒鍵で弾けてしまうというメリットがあります。ピアノ初心者やピアノをやったことがない人でも視覚的に非常にわかりやすく、弾きやすいんですね。
これは、ショパンの「黒鍵のエチュード」やSNSで流行った「魔法の伴奏」と同様の発想だといえます。
音楽のことをあまり知らない人には簡単に感じる。
一方で、楽譜や音楽理論的なことを知ってしまったがために難しく感じる…。なかなか皮肉めいて興味深いのがこの「ねこふんじゃった」なのです…。
「ねこふんじゃった」には音楽の基本が詰まっている
実際に「ねこふんじゃった」の楽曲分析をしてみたいと思います。実はこの楽曲は「ちょー簡単!」。楽曲のほとんどがG♭とD♭7のコードのみでできているのです。
これは、音楽理論でいうところのトニック(T)、ドミナント(D)というやつですね。トニックは安定、ドミナントは不安定。音楽というのは不安定なコードから安定なコードへと着地するのが大原則。これが、繰り返されて楽曲というのはできているのです。
滑り台に例えるとわかりやすい。不安定な位置→安定な位置という具合に重力にしたがって自然に落下していきます。
こういった性質が音楽にはあるのです。よく聞く『お辞儀のコード』と呼ばれるのもこの原理になります。これを念頭に置いて後のパートを見ていくといいかと思います。
左手がクロス!分数コード!?
次のパートにいきましょう。ここは、右手がクロスするパートですね。ここもG♭とD♭7が繰り返されていることには変わりません。
※楽譜がト音記号になっている点にご注意ください!
ただ、左手を低音部とすると、分数コードの要素がからんできます。楽譜にはいちよう採譜していますので参考にしてください。
この低音部もデタラメではなくて、きっちりG♭メジャースケールの音が使用されています。
また、コード構成音の一部分を低音部に使用することを「転回系」といいます。これがクラシックに代表される古典音楽では非常によく使用されていたコードになります。
これを活用していくと、単純なコードながらもいろいろなバリエーションが作れることがわかりますよね。
変な音が混ざっている…何の音?
では、次のパートです。ここですこし変化球を投げてくる。ここの音使いについて見ていきましょう。
これは発想的にはクロマチックアプローチというやつかと思います。「スケールを重点に半音隣の音を経過音として挿入する」という感じ。
「最初と最後の音さえスケール音にしてればそんな変にならないよね?」というような音使いになります。
最後も抜け目なし!
そして最後のパート。もう一度、Aパートを繰り返して終了になります。最後はいかにも「終わりましたーっ」というようなフレーズになっています。
この半音メロディは、「オルタードスケール」ではないかと思います。これは、コードに対する♭9thが特徴的な音になります。
ルート音に対して半音隣の音というのは、非常に不安定で、不協和音的な響きになるんですよね。
しかし、ドミナントコードでは、それがアリになります!もともと不安定なドミナントコードに♭9thが乗っかっているわけですから、ドミナントの性質を一層強めるような効果があるんですね。この辺も、最後の最後になかなか面白い音使いになっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
トニックとドミナントだけという非常に基本的なコード進行ながらも、しっかり楽曲として成り立っているというのがわかって頂けたと思います。
たまには、こういった楽曲を分析してみるのまなかなか面白いなーと思いました。
参考になれば幸いです。
では!