スケール(音階)理論

ボカロ楽曲の”謎の半音階”について解説してみる〜ボカロP界隈特有のメンヘラ音使い〜

今回は、ボーカロイド楽曲について研究していきたいと思います。

人気のボカロ楽曲の特徴

近年、賑わせているボーカロイド(CeVIO等)の楽曲を聴いていると、唐突な「スケール外の音」に出会います。例えば、グッバイ宣言 / Chinozoの冒頭部分。


さらに、KING / Kanariaという楽曲の冒頭部分。


こういった「半音階の響き」というのは、怪しい印象を与えるため、マイナー調の楽曲が多い近年のボカロ楽曲に、より一層のアクセントを与えるものとなっています。

どういったタイミングで使用される?

では、どのような音がどういったタイミングで使用されるのか。コードとスケールの観点から見ていきます。

先程、紹介したグッバイ宣言 / Chinozoの例。この楽曲では、Key:F(Key:Dm)なのにもかかわらず、A♭音とC#音が使用されています。


A♭音は、Blue note(ブルーノート)と呼ばれる音で、Fメジャーキーにおける♭3rdになります。これらの音がDm7というコード上で使用されており、ルート音との関係でみると♭5thになります。

さらに、C#音はFメジャーキーにおける#5thになります。このときのコードがA7なので、ちょうど、セカンダリードミナント(Ⅲ7)のコード構成音の3rdになります。この音使いに関しては、ボカロ楽曲に限らず、あらゆるPOPSの印象的な部分で頻出する関係ですので、メロディ構築手法としては重要になります。


これらの音は、Bメロ最後やサビ冒頭のフレーズにも使用されており、グッバイ宣言のメロディを印象づける大きな特徴の1つとなっています。


さらに、KING / Kanariaの例も見ていきます。これも、Key:E♭(Key:Cm)における、G♭音(♭3rd)と、B音(#5th)が使用されています。

この場合だと、ブルーノートの音は、Cm(Ⅵm)とE♭(Ⅰ)のトニック上で使用されていますね。さらに、サビ後半の場合。

これは先程、説明した通り、#5thとなる音が、セカンダリードミナント(Ⅲ:3和音)上で使用されていることがわかりますね。


このKING / Kanariaという楽曲は半音階がこの部分ぐらいしか使用されていなくて、楽曲の印象の割にはストレートな楽曲になっています。

比較的ポップに感じるグッバイ宣言 / Chinozoの方が、和声的にはよっぽど怪しい音使い多く使用されているということになります。

ブルーノートはどんなコード上でも使用される?

2つの楽曲の例を見ると、ブルーノートはどんなコード上でも使用されるということがわかります。

一方、#5thというのは説明した通り、セカンダリードミナント(Ⅲ7)で使用されることが多いですね。

これら2つの「スケール外の音」が近年のボカロ楽曲では非常に重要となっていると言えるのではないでしょうか。

有名楽曲の半音階をみていく

ヴァンパイア / DECO*27

DECO*27の「ヴァンパイア」という楽曲です。これは、サビフレーズの後半に印象的な半音階が使用されています。


これも音使いとしては、#5thになりますが、コードが特殊でdimコードというダイアトニックコードにはない和音が使用されています。

ベノム / かいりきベア

この楽曲もイントロ部分にA♭音のブルーノートが使用されています。これもEm7(Ⅵm7)のトニック上で使用されています。

Bメロの部分については、D音(#5th)が使用されており、これはちょうどセカンダリードミナント(Ⅲ7)上で登場する音使いになります。

フォニイ / ツミキ

フォニイという楽曲については、Bメロに「怪物 / YOASOBI」を彷彿させるブルーノートが使用されているのですが、もっと印象的なのが間奏部分です。

これは、珍しく、C#音(#Ⅳ)が唐突に使用されており、”変な”音使いになっています。直後のキメの部分も相まってかなり印象深いフレーズになっているのではないでしょうか。

ロウワ― / ぬゆり

この楽曲は、シャッフルの少しフュージョンチックな曲調ですが、サビ部分で繰り返しブルーノートが使用されており、印象深いメロディになっています。これもG♭maj7(Ⅰmaj7)とB♭m7(Ⅲm7)のトニック上で使用されていますね。


サビの最後にもブルーノートが使用されています。さらに、Key:D♭におけるA音(#5th)が登場し、これはA♭(Ⅴ7)のドミナント上で使用されていますね。やはり、この音はドミナント(〇7)での使用が多いことがわかります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。


ここまでの楽曲を見てみると、近年のボカロ楽曲には「ブルーノートを主軸とした半音階が積極的に使用されている」ことがわかります。

この音は、どんなコード上でもいけてしまう性質がありますので、”唐突に出てくる”というのも特徴の1つかもしれません。


もう1つ定番なのが#5thです。これは、Ⅲ7に代表されるドミナント(〇7)で登場することがほとんどで、それ以外はまぁ使用されないというのがわかりますね。

これら2つの音を使用することで、ボカロっぽいメロディや曲調になるかもしれません。


参考になれば幸いです。



では!


ABOUT ME
だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

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