ポップス・ロック

YOASOBIの『アイドル』という楽曲のサビが意外過ぎたので解説してみる〜アニメ「推しの子」OP〜

楽曲のキー(調)について

意外なことに、この楽曲のサビはKey:Cメジャー(ハ長調)ということになっています。楽曲自体は転調しまくっていますが、サビで半音上の転調(+1)をした結果、Key:Cメジャーに着地しています。

最近の楽曲ではかなり珍しいといえます(2022年のBillboard JAPAN上位50曲では該当するのが、カメレオン / King Gnuだけでした)。最近の楽曲で印象的だったのが「BOY / King Gnu」とかもそうですね。したがって、サビのメロディはすべてピアノの白鍵で弾くことができるということになります。

サビのコード進行について

Just The Two Of Us進行に近いコード進行

サビのコード進行は基本的に、4361(Fmaj7-Em7-Am-C)というコード進行になっています。シンセサイザーやピアノから詳細なコード進行を採譜してみるとこんな感じになると思います。

流行りのJust The Two Of Us進行のパターンに近いですね。Just The Two Of Us進行だとセカンダリードミナント(E7)が使われるのですが、ここは明らかにEm7のサウンドとなっているのがわかります。少し素直というか力強いサウンド感になっています。これが、意外ポイント2つ目です。


メロディに関しては、ペンタトニックスケールがメインで使用されているので、若干、和風なテイストがします。 


一方で、後半部分は、Just The Two Of Us進行のサウンド感が抜けきっていないためか、通常のセカンダリードミナント(E7)となっています。(ところどころEsus4とかが入り混じっているような気もしますが…)

さらに、印象的な半音階の進行が登場しており、かなり耳に残る部分です。これは、マイナーコードを平行移動させるパターン。このようなアプローチは近年のJpop(特にOfficiak髭男dismとか…)でもみよく見かけられ、面白いコード進行です。

ピカルディ終止の特徴的な響き

そして最後は、Asus4→Aという風にメジャーコードで終わるという「ピカルディ終止」と呼ばれる進行になっています。ここが意外ポイント3つ目ということになります。

本来は、マイナーコードであるAmで終わるのが普通なのですが、それだと、”暗くどんより”した印象で終わってしまうので、メジャーコードにすることがよくあります。

明るく力強いサウンドになり、特徴的な響きがするのでピカルディ終止という特別な名前がついています。

これもOfficial髭男dismを例に出すのですが「CryBaby」という楽曲で分かりやすく使用されています。他にも、♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰ(Ⅰsus4→Ⅰ)という形でアニソンによく使用されますね。<呼び方:マリオ進行、アニソン進行など…>これもアニメとのタイアップなので明るい雰囲気で終わりたいからだと考えられます。

アニソンにおけるマリオ進行
・God knows…/ 涼宮ハルヒ
・Only my railgun / fripside
・Butterfly / 和田光司
・ピースサイン / 米津玄師
・Cagayake!GIRLS / 桜高軽音部

など…

このように、この楽曲のサビは詳細に詰めていくとなかなか芸が細かいコード進行になっているということになりますね。

まとめ


いかがでしたでしょうか。

楽曲全体の雰囲気としては、あまりYOASOBIっぽくなく、新鮮な印象になっているのではないでしょうか。


参考になれば幸いです。


では!


音源・ストリーミング



〇Amazon Music Unlimitedでは多くの楽曲が聴き放題
⇒ Amazon Music Unlimited アマゾン公式(無料体験)

関連書籍





ABOUT ME
だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA