コード進行・楽曲分析

アウフタクトは楽曲の必須要素か?~近年のJpopにおける使用と作編曲における有用性について~

アウフタクト(Auftakt)について

今回はアウフタクト(Auftakt)についてみていきたいと思います。というのも視聴者から「作曲における繋ぎが何かうまくいかない…(主にBメロ→サビ…)」という要望がありました。

確かに、作曲や編曲はアイデアの断片をAメロ、Bメロ、サビ…のようにパートとして区切り、それをつなぎ合わせて制作していく側面があり、それらのアイデアの発想タイミングは様々なので、いざ振り返ってみると思ったように接着しないということは少なくないと思います。

その打開策の一つとして今回は『アウフタクト(Auftakt)』という手法を提示したいと思います。また、これはそれ自体が楽曲を非常に魅力的にしているということもありますので、使用楽曲も含めて考えたいと思います。

アウフタクト(Auftakt)とは?

アウフタクト(Auftakt)とは、 弱起(じゃっき)とか言ったりするんですが、まぁこれについては例を出したほうが早いと思います。例えば、サビやBメロなどが始まる小節線があり、その前にはみ出している部分のこと。これをアウフタクトなどと読んだりします。

イメージでいえば、パートの小節線を超えるための助走に近い役割をしているため、パート感を比較的自然に繋ぐことができ、近年のJpopでも頻繁に使用されていたりします。

昨年の音楽ランキング50位(Billboard JAPAN HOT100:Downlnad Song部門)を調査してみると、サビで使用されているのは50曲中2、30曲程度であり、半分ぐらいに使用されていることがわかります。例えば「アイドル」「第ゼロ感」「地球儀」「ミックスナッツ」「残響散歌」などの楽曲が該当していますね。

(昇順)〇:あり、×:なし、△:掛け声的

楽曲 / アーティストアウフタクト(サビ)
アイドル / YOASOBI
第ゼロ感 / 10-FEET
Subtitle / Official髭男dism
絆ノ奇跡 / MAN WITH A MISSON×milet
唱 / Ado
怪獣の花唄 / Vaundy
青のすみか / キタニタツヤ
KICK BACK / 米津玄師
祝福 / YOASOBI
SPECIALZ / King Gnu
美しい鰭 / スピッツ
勇者 / YOASOBI
新時代 / Ado
オトナブルー / 新しい学校のリーダーズ
ダンスホール / Mrs.GREEN APPLE
地球儀 / 米津玄師
愛の花 / あいみょん
Habit / SEKAI NO OWARI
コイコガレ / MAN WITH A MISSION×milet
I’m a mess / MY FIRST STORY
ホワイトノイズ / Official髭男dism
Seven / Jung Kook
ミックスナッツ / Official髭男dism
TATTOO / Official髭男dism
心得 / Uru
楽曲 / アーティストアウフタクト(サビ)
Slah / yama×
ケセラセラ / Mrs.GREEN APPLE×
メフィスト / 女王蜂×
LADY / 米津玄師×
星月夜 / 由薫
Mainstream / BE:FIRST×
W/X/Y / Tani Yuuki×
スターマイン / Da-iCE
アイラブユー / back number
月を見ていた / 米津玄師
残響賛歌 / Aimer
可愛くてごめん / Honey Works×
青と夏 / Mrs.GREEN APPLE
Moving Pieces / Travis Japan
僕のこと / Mrs.GREEN APPLE
Magic / Mrs.GREEN APPLE×
私は最強 / Mrs.GREEN APPLE×
向日葵 / Ado
SOUVINIR / BUMP OF CHECKEN
水平線 / back number×
Smile Again / BE:FIRST
Candy Kiss / Travis Japan
アドベンチャー / YOASOBI
Overdose / なとり
花 / 藤井風×

アウフタクトのパターンについて

ブレイクをともなったアウフタクト

アウフタクトにはいくつかのパターンがあると考えられます。一番はじめに思い浮かぶのがブレイクを伴ったアウフタクトです。これは伴奏が停止して、ボーカルのメロディのみにスポットライトが当たるため、助走としては非常に効果が高いといえます。

例えば、YOASOBI「アイドル」、Official髭男dism「Subtitle」、YOAOSBI「勇者」、スピッツ「美しい鰭」、BUMP OF CHICKEN「SOUVENIR」など数多くの楽曲に使用されており、もはやお決まりテクニックであることがわかります。ブレイクを挟むことによって、サビでの音響的な広がりも感じるため、歌ものでは非常に頻繁に使用されるといえるでしょう。

比較的短いアウフタクト

これは1音のみが小節線からはみ出るパターンです。例えば、米津玄師「KICK BACK」、10-FEET「第ゼロ感」、Official髭男dism「ホワイトノイズ」、Mrs.GREEN APPLE「青と夏」などですね。一音だけでも効果はあります。

これを非常に効果的に使用しているのが、米津玄師「KICK BACK」。サビの「ハッ」という部分でブレイクを伴い、ただの掛け声パターンのアウフタクトかと思えば実は「ハッピー」という歌詞に繋がっているという意外性を持ち合わせた面白いアイデアだと思います。

掛け声に近いアウフタクト

これは、アウフタクトというかは微妙なところがあるのですが、サビ前に掛け声的にメロディを持ってくるパターンです。例えば、Ado「唱」、Vaundy「怪獣の花唄」などが該当し、サビメロとはぶつ切りの印象があります。ただ、サビ前にメロディを持ってきていますし、サビへの助走と考えると1種のアウフタクトといえるでしょう。

まとめ

今回はアウフタクトについてみてきました。あえて意識する必要はないかもしれませんが、アイデアとしてストックしておくといいかもしれませんね。

ぜひ、参考になれば幸いです。


では!

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だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

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