コード(和音)理論

秘儀「〇m7♭5着地」という謎の手法について解説してみる~Jpop、アニソン進行における謎の着地点の気持ちよさ~

秘儀「○m7♭5着地」について

○m7♭5というコードについてみていきましょう。これは、メジャーダイアトニックコードの7番目の和音で、コード構成音に減5度を含むことから非常に変わった響きがしているのが特徴です。(3和音にするとdimになるので、今回の話はdimでの使用も該当することにします)

このコードは、ツーファイブワン進行や半音下降進行の経過和音として登場することが多く、前者を短調におけるドミナントに繋がるコード、後者を#4をルート音とした経過和音的なコードとして説明されることが多いです。

一方、アニソンやJpopではこれらのコードをフレーズ区切りにトニック的な用法で使用している楽曲が多数見受けられ、この使い方が非常に謎であるため、これを特別に秘儀「m7♭5着地」と呼ぶことにしています(個人的にそう呼んでいるだけです)。

楽曲のフレーズ着地点でわざわざ減5度和音を持ってきているわけですから、そこには作曲・編曲者の意図や遊び心を感じずにはいられません。そこで今回は、この「m7♭5 着地」の正体についてみていこうと思います。

〇m7♭5着地の使用楽曲
・ケセラセラ / Mrs.GREEN APPLE
・Hello again~昔からある場所~/My Little Lover
・115万キロのフィルム/Official髭男dism
・雨とカプチーノ / ヨルシカ
・トウキョウ・シャンディ・ランデ / ツミキ,花譜
・Lovers / sumika
・Good Luck Lilac ~アニメガタリズED~

m7♭5着地の楽曲例について

「ケセラセラ」のm7(♭5)着地

Mrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」にm7♭5着地が見られます。例えば、サビの「all right,all right!」という部分がそうで、ここにFm7(♭5)が使用されています。

このフレーズではメロディにKey:B の主音が使用されており、それに対してFm7(♭5)を当てているということになります。つまりは、減5度音程がメロディのトップノートになるパターンです。

このコードのディグリーを見てみると、メジャーダイアトニックコードにはない#Ⅳm7♭5になっており、#Ⅳをルート音としたリディアンコード由来のものであると考えられます。

115万キロのフィルムのm7♭5着地

Official髭男dism「115万キロのフィルム」では、冒頭「瞳のおくのフィルムで…」に、Am7(♭5)が使用されています。メロディ音にはG音、つまりコードに対して短7度ということになります。ここもKey:E♭なので、#Ⅳm7♭5となりますね。

Hello, again〜昔からある場所〜のm7♭5着地

少し昔の楽曲ですが、「Hello again,昔からある場所」という楽曲にも非常にわかりやすく使用されています。サビの「さまようかげ…」というフレーズでC#m7♭5が登場しており、ここでもメロディのトップノートは短7度になっています。

「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」のm7♭5着地

この楽曲では「どうにもならないぜ…」で合いの手的にA#m7♭5が挿入されています。このメロディ音はコードに対して3rdが登場していますね。

「Lovers」のm7♭5着地

sumika「Lovers」でも#Ⅳm7♭5が使用されています。これは半音下降進行のあとに一旦着地するパターンですね。これまでの例と異なっており、メロディ音にはコード構成音の3rd音が使用されていますね。

グッドラックライラックのm7♭5着地

アニメガタリズEDです。サビの「かなわない…」の部分でA#m7♭5が使用されています。この楽曲についてもKey:Eなので、#Ⅳm7♭5を持ってきていることになります。メロディ音についてはE音なので減5度になっていますね。

秘儀「m7♭5着地」の正体とは?

 これまでの楽曲をみていくと、この着地コードの正体は、#Ⅳm7♭5だということがわかります。また、このときのメロディ音については特定の構成音のみでなく、短3度、減5度、短7度などわりとなんでも使えるということがわかりました。特に、Keyの主音を持ってくると、コードに対して減5度の関係になりますので、案外使用パターンは多いのかなというのが新しい発見です。

 これらの#Ⅳm 7♭5は理論的にはリディアン(Lydian)に由来するものといえます。リディアンスケール(Lydian Scale)はメジャースケールの4番目を半音上げた(#4になる)スケールで、これによって明るく響く印象がすると言われているスケールです。

 コードだけで聴くと不協和にも思えるコードなのですが、楽曲の流れの中では逆に明るく聴こえるという不思議な特徴をもったコードでもあります。

 実際のところ、”明るく着地”という文脈で使用しているのか、”陰りのある着地”で使用されているのかは作曲者の意図によるところが多い気がします。

 例えば、ケセラセラの「all right.all right…」は”明るく着地”でしょうね。一方、Hello again「さまようかげ…」、115万キロのフィルム「目の奥にあるフィルムで…」やLovers「最後には…」は解釈次第ではすこし陰りがあるようにも感じます。

 この辺はサウンド面だけに重視していることもあるでしょうから深くは言及するべきではないですが、考えてみるのも音楽制作の深みが出て面白いと思います。

まとめ

 今回は、m7♭5というコードについてみてきました。特に、トニック的な扱いで使用されるパターンは何故かアニソンやJpopにはなぜかよく見られる手法です。面白い使い方なのでぜひ使ってみてください。


参考になれば幸いです。


では!

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だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

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