スマホゲームが出てからというもののかなり人気ですよね。ウマ娘。私の周りでも話題のコンテンツです。
そこで、今さらながらウマ娘メインテーマである『GIRL’S LEGEND U』を聴いてみたところ、「なんじゃこりゃ!」と思ってしまったので取り上げてみます。
動画でも解説していますのでそちらも見てみてください。
では、いきましょう。
冒頭のファンファーレ
冒頭部分です。開幕ファンファーレのような雰囲気になっていて、まさに競馬における出発シーンを連想させます。
Keyは微妙ですが、D♭→E♭(♭Ⅵ→♭Ⅶ)というコード進行が目立つのでKey:Fmとしておきましょう。また、拍子も特徴的で、3/4拍子と4/4拍子が繰り返されていてすこし複雑になっています。
最後の終止コードにF(同主調の主和音)が使用されることにより、明るさ感じさせるサウンドになっています。クラシックでは『ピカルディ終止』ともいったりします。
個人的には、ウマ娘達が低い音程で「Wow〜Wow〜」と歌っているのが癖になります。
イントロ
ここから一気に疾走感が出ます。なんとBPM=205という怒濤のテンポ感。まさしく競走馬が走り出した感覚です。ここはKey:E(#4)としておきます。
冒頭の最後がKey:F(♭1)とすると、半音下の転調ということになります。
コード進行的にはそれほど難しくないですが、Key:EにはないA#の音がコードとメロディに使用されています。これはブルーノート(♭5)と解釈することもできますので、特段、突拍子に発生した音ではない気もします。
Aメロ
Aメロいきましょう。Key:D♭(♭5)に転調しています。
Key:E(#4)の平行同主調ということで「3度下(-3)の転調」となっています。さらに、Cm7(♭5)→F7→B♭mというツー・ァイブ・ワン進行(Ⅱ→Ⅴ→Ⅰm)を交えながら目まぐるしくコードが展開していきます。
途中でイントロの「Wow Wow〜」というフレーズが再び出現するため、一時的な転調にハッとさせられますが、先ほどの通り、この調関係は同主平行調になっているのでそれほど無理やり感はありません。
それよりは、D→G#(A♭)という流れが、もとのKey:D♭へと強引に引き戻す役割をしているので、ここがかなり突拍子な気がします。
Dは同主調の借用和音である♭Ⅶ。次のG#(A♭)がそのコードの裏コードの役割をしているため、本質的には同じ機能になっています。
この辺はリズムのシンコペーションも合間ってめちゃくちゃ気持ちいい部分。
後半部分のE♭m→A♭7→B♭sus4→B♭でドミナントからⅥの和音に解決しているため、偽終止と呼ばれるものになっています。このような終止形は結構よく使用されたりします。
※これも考えようによっては、ピカルディ終止と考えることができますね。平行調のKey:B♭mと考えると、主和音(Ⅰm)がB♭に変化しているため。
Bメロ
Bメロでガラリと雰囲気が変化。一旦落ち着いてサビに向かうというBメロの役割をバッチリ果たしています。
もちろん転調しているのですが、ツー・ファイブ・ワン進行(Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ)が繰り返されていると考えるとわかりやすいです。
これが規則性を持って3回繰り返されているだけです。そうすると「Key:B→A→G」という具合に「全音下(-2)」ずつ降りてくる転調になります。
(※最後のAm→D7→…の解決先が特殊でまた転調するのですが…)
ジャズスタンダード曲の『How High The Moon』でもこういった手法が用いられていますよね。ジャズではよく見られるアプローチです。最後のツーファイブ進行で主和音のGに着地するのではなく、B♭mというコードに着地していてKey:A♭(♭4)へと転調しています。そして、ダイアトニックスケール上を下行してサビに向かいます。
サビ
サビ行きましょう。Key:A♭(♭4)になっています。
8分音符の連続メロディが疾走感をより際立たせていますね。さらに、コード進行が6451(Fm→D♭→E♭→A♭)の小室進行から開始しており、ここにきてようやく聴き慣れたサウンドが登場して、ホッとするというか、地に足がついてるような印象があります。
後の展開もコード進行的にはダイアトニックコード、セカンダリードミナント主体となっているのでそれほど難しくはないかと思います。
最後のクライマックスである「勝利へ~…」という部分でD♭→E♭→F(♭Ⅵ→♭Ⅶ→Ⅰ)というコード進行になっており、Key:Fに向かってフィニッシュ!です。(特段、転調していると解釈する必要もないかもしれませんが…)
楽曲の転調について
この楽曲ではかなり頻繁な転調が繰り返されていますよね。まとめるとこんな感じ。
ハイテンポも合間ってかなり展開が激しく感じると思います。エンタメ性を重視したという感じでしょうかね。順番に見ていきましょう。
全音(-2)の転調:Bメロ
この楽曲でインパクトがあるのは、Bメロの展開だと思います。AメロからBメロへ移行する部分と最初の部分ですね。
この部分は上述した通り、ツー・ファイブ・ワン進行が使用されて一時的に全音下(-2)の転調が繰り返されている流れになっています。
かなりシステマティックなアプローチで「解決先のコードを次のツーファイブワン進行のⅡmに変化して、次のツーファイブワン進行につなげる」というアプローチです。
ジャズでは結構よく見かけるようなアプローチですが、これをポップス(アニソン)の領域で使用しているので、ハッとさせられた人も多いのではないかと思います。
短3度(±3)の転調:Aメロ、サビ
楽曲で随所に転調がちりばめられていますが、結局は「短3度の転調」が繰り返されているだけと考えてもらっていいと思います。
短3度の転調ついてはこちらの記事(CryBaby/Official髭男dism)でも解説していますが、これは「平行調と同主調をつなぐ調関係」なので、かなり使いやすいんですよね。
したがって、頻繁に使用してもそれほど変な感じはなく、楽曲全体としてはまとまった感じになるというわけです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
転調や合いの手なども混じっていてかなり騒がしいハチャメチャな楽曲展開だったのではないでしょうか。「サイゲやってくれたな!」という感じです。
聴き始めは「なんじゃこりゃ…」という感じですが、何回も聴いてると癖になってしまいますよね…。
参考になれば幸いです。
では!
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