ジブリ音楽から学ぶポップスコード進行
ジブリ音楽におけるポップスによくみられる定番コード進行をまとめたいと思います。ジブリ音楽を主に手掛ける久石讓さんの著書『感動をつくれますか?』にはこのような記載があります。
「ポップスでわかりやすく親しみやすい音楽をつくるということは、突き詰めていくといいメロディを書いて、心地よいリズムとしゃれた和音をどうつけるかということになる。」
「それだけでは作曲家としてはつまらないので、色々試したくなるが、親しみやすい音楽ではなくなってしまう葛藤がある。」
このように記載されており、ジブリ音楽としてリリースされた人気楽曲にも、ポップスに見られるような親しみやすい定番コード進行が多数見られますが、単純なパターンだけでは面白みに欠けるため、それらを派生したり、リハーモナイズしたり、ピンポイントで取り入れたりと、クリエイターとしての工夫を垣間見えることができます。
今回の記事では、ジブリ音楽を通じてそれらの定番コード進行の使用についてみていこうと思います。
(また、楽器でなんか弾いてという要望にジブリ音楽を弾くと、それなりの満足感が得られるため、同じコード進行を分類しておくというのは、そういう意味でも役立つと考えられます…)
カノン進行
まずはカノン進行。これは長調の主和音から始まるため、明るく、素朴な印象が得られるコード進行になります。ジブリ音楽の歌モノ楽曲では、このコード進行はよく使用されています。
・となりのトトロ ~となりのトトロより~
・時には昔の話を ~紅の豚より~
・いつも何度でも ~千と千尋の神隠しより~
・いつでも誰かが(作曲:紅龍)~平成狸合戦ぽんぽこより~
・ひとりぼっちはやめた(矢野顕子)~ホーホケキョ となりの山田くんより~
・風になる(作曲:つじあやの) ~猫の恩返しより~
・さよならの夏(坂田晃一)~コクリコ坂から~
など…
ジブリ音楽におけるカノン進行パターンについて
カノン進行はこのような進行。基本パターンは「パッヘルベル・カノン」に由来する下記の進行だといわれますが、ジブリ音楽ではこのコード進行を核として様々な派生パターンが考えられます。
「いつも何度でも(冒頭部分:よんでいる~、Key:F)」は初めから終わりまでこのカノン進行がもとになっています。最後の小節では、Ⅳ→Ⅴ(B♭→C)の代わりにサブドミナント機能をもつⅱ→Ⅴ(Gm→C)にしたり、一部、分数コード(F/A)を使用してベースラインを順次進行にしたり、一部の派生パターンがあることがわかります。
「となりのトトロ(冒頭部分:だれかが~、Key:F)」では、ベースラインの順次下降進行になるように分数コード(C/E、Am/C)を用いており、最後の部分にサブドミナントマイナーⅣm6(B♭m6)が挿入されています。
さらに、Gm7/Cというコードがテンション感を持ったドミナントコードになっており、非常に豊かな響きがします。
「時には昔の話をしようか」も下降型のコード進行ですね。このようにカノン進行を核として、いろいろなアレンジが考えられると思います。
Just the two of us進行
Just The Two Of Us進行。おしゃれなコード進行と言われていますが、一部の楽曲では非常に情緒的な印象も与えていることがわかります。
・あの夏へ~千と千尋の神隠しより~
・風の谷のナウシカ テーマソング〜風の谷のナウシカより〜
など…。
ジブリ音楽におけるJust The Two Of Us進行
Just The Two Of Us進行の基本パターンは以下のようになります。ポップスでは、Ⅳ-Ⅲ7-ⅵなどもそう呼ぶことがあるようです。(他、丸サ進行など…。)
「あの夏へ(Key:C)」はこのコード進行を使用していることで有名です。ここでは肝となるⅢ7(E7)のテンションコードが#9となっており、独特の雰囲気を放っています。
『風の谷のナウシカ テーマソング(サビ部分:かぜのたにの~、Key:D)』は、おしゃれというよりは楽曲全体の雰囲気も相まって不気味さを感じますね。
最後の小節が、なぜかⅣmaj7-Ⅲ7-Ⅵm-Ⅱm7-Ⅴ7となっており、かなり謎です。
小室進行
小室進行は6451という進行。短調の主和音であるⅥmから始まるため、切なさ、かっこよさが感じられ、ポップスではかなり使用される進行です。天空の城ラピュタの『君をのせて』のサビがこのコード進行です。
・君をのせて~天空の城ラピュタより~
ジブリ音楽における小室進行
「君をのせて(サビ部分:とうさんが~、Key:G♭)」のコード進行では、最後の小節にB♭7/F(Ⅲ7/Ⅶ)というコード進行が使用されており、次の6451へとうまく繋いでいます。このような手法もポップスではよく使用されますよね。
王道進行
王道進行(4536進行)。ポップスほどは使用されませんが、楽曲の特定の部分のみに使用されていたりもします。いわゆる隠れ王道進行ですね。(個人的にそう呼んでいるだけで、一般的な呼び方ではありません)
王道進行
・発光信号~崖の上のポニョより~
・鳥の人~風の谷のナウシカより~
・さんぽ(イントロ)~となりのトトロ~
・時には昔の話を~紅の豚より~
・アシタカとサン~もののけ姫より~
・帰らざる日々~紅の豚~
・ポニョの子守唄~崖の上のポニョより~
など…
ジブリ音楽における王道進行
楽曲のピンポイントで王道進行を使用することで、楽曲展開にグッとくる部分を表現されており、使用タイミングも非常に素晴らしいです。
(Youtubeにて動画を出していますので、楽曲例に関してはそちらを参考にしてください…:https://youtu.be/ROpGG7pXFd4)
コード進行としては、以下の3つのパターンがありり、ポップス作曲ではよく登場するため、覚えておきましょう。
①基本パターン:Ⅳ-Ⅴ-Ⅲm-Ⅵm
②分数コード:Ⅳ-Ⅳ/Ⅴ-Ⅲm-Ⅵm
③セカンダリードミナント:Ⅳ-Ⅴ-Ⅲ7-Ⅵm
Cycle Progression(5度進行)
面白いコードパターンもありますので紹介しておきます。それが5度下進行を繰り返すようなCycle Progressionと呼ばれるコード進行。
・海の見える街~魔女の宅急便より ~
・さんぽ(イントロ)~となりのトトロより~
など..。
ジブリ音楽におけるCycle progression進行
五度圏を辿っていくとよくわかりますね。「海のみえる街」ではKey:G(Key:Em)のダイアトニックコードEm→Am→D→G→C→F#m7(♭5)→B→Em…と辿っていきます。
他のコード進行
他、もののけ姫の『アシタカせっき』や『西へ 旅立ち』にみられる456進行、ルージュの伝言の1645進行などがありますね。
・アシタカせっき:456
・西へ旅立ち:456
・ルージュの伝言:1645
・Arrietty’s Song(作曲:SimonCaby):6154
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ジブリ音楽にも使用されているポップスの定番コード進行。やはり聴き馴染みのあるコード進行なだけあって印象に残る部分が多いですね。
参考になれば幸いです。
では!
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外来カタカナ語や外国語が多くてわかりにくかったです。
楽譜の1つもありませんでした。
音楽専門の人が記者や出版に似たことをしているように見えて、品質がよくありません。
広告や動的にオススメを見せようとするのも不快です。
聞く人のことを考えて音楽を作るのと同じように、見る人のことを考えてブログの文筆や作図をされてください。
コメント誠にありがとうございます。一部、記事を修正しました(そうですね、誤字や省略も多く、記事の質が良くなかったことを反省しております)。楽譜に関しては、動画等で解説していますのでそちらを参考にしていただけると幸いです。