コード(和音)理論

めちゃくちゃ珍しい3度進行の魅力とは?~クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)進行の解説と楽曲について〜

3度進行(ミディアント進行)とは?

ミディアント(Mediant)のコード進行について見ていきます。これはKeyの主和音から3度に進行することをいい、3度については、M3rd↑、m3rd↑、M3rd↓、m3rd↓を含んでぃす。これによって転調感のある不思議な感覚が得られますね。

○ミディアント進行の使用楽曲の例

・帝国のマーチ(ダース・ベーダーのテーマ)~映画『スターウォーズ』より~
・It Won’t Be Long / The Beatles
・Light My Fire / The Doors
・Just / Radio head
・Morning Bell / Radio head
・ヒラヒラヒラク秘密ノ扉 /チャットモンチー
・Life Goes On〜ゲーム「ペルソナ5」より〜
・SEGA起動音

など…

そもそもミディアント(Mediant)とは?

「ミディアント(Mediants)」というのは聴き慣れない言葉ですが、ダイアトニックコードをさらに細分化すると、それぞれ「トニック、サブドミナント、ドミナント、ミディアント、サブミディアント、サブトニック」と呼ばれることがあり、Keyの主和音から3度下、3度上のコードを「ミディアント」または「サブミディアント」と呼ぶことになっています。

3度に進行することをミディアント進行などと呼ぶのですが、ダイアトニックコードであるかどうかで響きが随分異なり、ダイアトニックコードの場合を「ダイアトニック・ミディアント」、ダイアトニックコードではない場合を「クロマティック・ミディアント」または「ダブルクロマティック・ミディアント」と呼んでいます。

例えば、Key:Cの場合は、8つのパターンが考えられ、転調感があるのはもちろんCメジャースケールにはない音を多く持つコードである「クロマティック・ミディアント」または「ダブルクロマティック・ミディアント」ということになります。

パターンコード進行呼び方
M3rd↑C→Em(Ⅰ→Ⅲm)
C→E(Ⅰ→Ⅲ)
ダイアトニック・ミディアント
クロマティック・ミディアント
M3rd↓C→A♭(Ⅰ→♭Ⅵ)
C→A♭m(Ⅰ→♭Ⅵm)
クロマティック・ミディアント
ダブルクロマティック・ミディアント
m3rd↑C→E♭(Ⅰ→♭Ⅲ)
C→E♭m(Ⅰ→♭Ⅲm)
クロマティック・ミディアント
ダブルクロマティック・ミディアント
m3rd↓C→Am(Ⅰ→Ⅵm)
C→A(Ⅰ→Ⅵ)
ダイアトニック・ミディアント
クロマティック・ミディアント

また、Key:Cmを主和音とした場合も同じようになります。そう考えると、シンプルな考え方にもかかわらずかなりのパターンが出来上がることがわかると思います。

パターンコード進行呼び方
M3rd↑Cm→Em(Ⅰm→Ⅲm)
Cm→E(Ⅰm→Ⅲ)
クロマティック・ミディアント
ダブルクロマティック・ミディアント
M3rd↓Cm→A♭(Ⅰm→♭Ⅵ)
Cm→A♭m(Ⅰm→♭Ⅵm)
ダイアトニック・ミディアント
クロマティック・ミディアント
m3rd↑Cm→E♭(Ⅰm→♭Ⅲ)
Cm→E♭m(Ⅰm→♭Ⅲm)
ダイアトニック・ミディアント
クロマティック・ミディアント
m3rd↓Cm→Am(Ⅰm→Ⅵm)
Cm→A(Ⅰm→Ⅵ)
クロマティック・ミディアント
ダブルクロマティック・ミディアント

3度に進行するというのは珍しい?

そもそも3度進行というのは珍しく、これらのコード進行を活用した楽曲として有名なのがスターウォーズの「帝国のマーチ」です。これはKey:Gmを主和音としてGm→E♭mと3度進行(M3rd↓)を繰り返しており、重圧感のある響きがしています。

SEGA(セガ)の起動音はE♭/B♭→C/Gで、Key:Cの主和音に解決する3度進行(m3rd↓)ですが、これも不思議な感覚がすると思います。


チャットモンチー『ヒラヒラヒラク秘密ノ扉 』のイントロでも、Amaj7→Fmaj7へと3度進行(m3rd↓)が繰り返されており、クロマティック・ミディアント進行となっています。ロックバンドとしてはなかなか珍しいアプローチですよね。



Persona 5 の「Life Goes On」という楽曲は、Em7→Cmaj7→Em7→Cmaj7のコード進行を繰り返しており、ダイアトニックコード上で3度進行(M3rd↓)ですが、これもあまり聞かないような浮遊感のあるサウンドが得られています。

セカンダリードミナント、借用和音での解釈

そもそもこれらのクロマティック・ミディアントは、借用和音やセカンダリードミナントとしても解釈することができます。例えば、C→E♭やC→A♭に関しては、同主調から借用したコードと考えることができますし、C→EやC→Aに関しては、セカンダリードミナントの派生形とも考えることができます。

 日本のポップスシーンではC→E(Ⅰ→Ⅲ)というコード進行が非常によく使われています。これは主和音(Ⅰ)からM3rd↑(Ⅲ)へと3度進行しており、その部分のみを切り取ると、ミディアント進行ともいえますが、次にAmがくるため、セカンダリードミナントとも考えられます。恐らく、3度進行を執拗に繰り返す進行や、ダブルクロマティック・ミディアントをミディアント進行と呼ぶことが多いように思います。

まとめ


いかがでしたでしょうか。

3度に進行するという非常にシンプルな考え方ですが、いろいろな使い方、サウンド感が得られることがわかると思います。

参考になれば幸いです。


では!

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だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

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