今回は、和音の重ね方について話していきたいと思います。
ピアノやDTMのストリングス、編曲などさまざまな場面で活かせる話だと思います。
では、早速いきましょう。
和音の美しい重ね方とは?
では、和音の美しい重ね方とはなんでしょう。今回、紹介するのは、最も和音の重ね方について体系化されているクラシック理論をもとにしたお話です。
クラシックというと、ジャンル違い…と思う方はいるかもしれませんが、実は、現代のポップスやアニソン、ジャズでも幅広く活用されている考え方です。
なので今回は、細かいことは置いておいて、すぐに使える実践的な話だけを猛スピードで紹介したいと思います。
和音を美しく重ねるための4つのこと
和音を美しく重ねるために重要なことは4つのポイント。どれもそんなに難しい話はしません。さらっと実践できるような内容なので、知っておいて損はないと思います。
- 基本的には4音で考える
- 狭く重ねるか、広く重ねるか
- 重複するのはRootか5thが無難
- 省略するのは5thが無難
① 基本的には4音で考える
和音を重ねる際は、とりあえず4音を基本として考えようということです。それは「ソプラノ」「アルト」「テナー」「バス」という分類があるからです。これらを合わせて”四声”と言ったりします。
弦楽器でいうと「1stバイオリン」「2ndバイオリン」「ビオラ」「チェロ」です。DTMでよく使用されるストリングス編成もこれですね。
バンド編成でいうと一番低音部が ベースで、。他3つがギターやピアノなどのウワモノ楽器です。(まぁイメージでいうとこんなところです。)
この構成が過もなく不過もなくといった感じで基本の重ね方になります。これを頭に入れておくと、無駄に音を重ねすぎたりごちゃごちゃした感じになりにくく、作曲や編曲の際もすっきりまとまることが多いです。
② 狭く重ねるか、広く重ねるか
ここからが重ね方の話です。まず「狭く重ねるか」「広く重ねるか」というのがあります。これは楽譜を見てもらった方が早い。
狭く重ねたパターン(音源)
広く重ねたパターン(音源)
狭く重ねると、”音が詰まって聴こえる”ので、重厚感があります。
広く重ねると音域が広いので解放感があり、響きが豊かに聴こえることが多いです。
基準は上の3つの音が「1オクターブ以内に重なっているかどうか」です。1オクターブ以内の場合は、”クローズドボイシング”と呼ばれ、1オクターブをまたがる場合を”オープンボイシング”といいます。
どちらを使ってもいいのですが、重要なことは”バランスよく”積み重ねることです。例えば、音の間隔がバラバラになっているのはあまり気持ち良い響きではありません。
まぁこの辺は、なんとなーく感覚的にもわかるのではないでしょうか。
③ 重複するのはRoot音と5thが無難
次は、3和音(トライアド)の基本的なコードを鳴らす時の話です。先程、基本的には4つの音で重ねるといいましたね。
そうなると、Cコード構成音は「ド・ミ・ソ」の3つしかないので、なんと重複する音が出てきてしまいます!
こうなった場合は、Rootか5thを重複するようにします。(あくまでその方が無難という話)
Root音重複パターン
5th重複パターン
3rdを重複させてしまうと、少しサウンドの安定感に欠けるからです。聴いてもらうといいかもしれません。
すこし音が発散するというか、地に足がつかない感じ(?)がしますよね。したがって、Root音か5thを重複させるのが無難ということです。(逆にこういったニュアンスを出したいのなら全然OKですよ!)
④ 省略するのは5thが無難
次は、和音にテンションをつける場合(5和音)のお話です。
例えば、Cmaj7(9)という和音の場合、構成音は「ド・ミ・ソ・シ・レ」の5音になりますよね。すると4音では足りなくなるわけです。
その場合は、5thを省くのが一般的です。5thはあってもなくても、コードの性質にそれほど影響することがないからですね。
これが、テンションを加えるときの基本的な考え方です。
もちろん5音全てを鳴らしてしてしまうというのも全然アリですが、音楽には”引き算の美しさ”というのもありますので、そういったものを追求したい人は参考にするとよいです。
実際にそこまで考えているか?
ここまで、基本的な考え方についてお伝えしてきました。ただ「けっこう面倒くさくね?」と思った方はいるのではないでしょうか。
それもそのはず。コード1つ1つにこれだけこだわっているのですから、めちゃめちゃ時間かかるやんって話ですよね。
なので、普段の演奏では多少アバウトでもいいかもしれません。
もちろん、意識するのに越したことはないのですが、これらの考え方が大いに役にたつのは、作曲や編曲のときですね。じっくり楽曲構造を練るときには特に重要になる考え方だと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、基本的な考え方について紹介してきました。これは、和音でいうところの”縦”の観点の話ですね。これらを参考にするだけでもかなり和音の重ね方の指針ができたのではないでしょうか。
次回は、和音をどうやって繋げるか。属にいうコードの”横の動き”についてやっていきたいと思います。
参考になれば幸いです。
では!