今回は、転調についてやっていきたいと思います。
1コードでできる転調手法
今回は、たった1コードでできる転調手法についてみていきます。
まず、重要なポイントとしてピボットコード(Pivot Chord)という概念について説明させてください。これは、異なるKeyのコードのうち共通していて、転調の契機となり得るコードのことを言います。
例えば、Key:CとKey:Fを比較すると、共通しているコードがいくつかあることがわかりますね。
従って、これらのコードを上手く使うことによって、スムーズに別のKeyへと足を踏み入れることができ、転調につなげることができると考えられます。
同主調の転調
まずは、ポップスでも定番の同主調の転調についてみていきます。
同主調とは、同じ音を主音とする調同士のことで、例えば、Key:CとKey:Cmのようなものです。
同主調のコードを見てみると、共通しているコードはありませんが、マイナーキーにおいては、5番目のコードがドミナントコード(G或いはG7)にされることが多く、これが2つのキーの共通コードとして現れます。
このような転調手法は、The beatlesの「The fool onthe hill」「I’ll be back」などで用いられています。
〇The fool on the hill / The Beatles
発想はかなりシンプルですね。本来であればドミナントからメジャーの主和音であるD(Ⅰ)へと進行しますが、代わりにDm(Ⅰm)へと解決しています。これで同主調へと簡単に転調することができます。
全音上(+2)の転調
全音上(+2)の転調です。高揚感が得られるためサビでよく使用されていると言えます。
これらのKeyについて共通しているコードを見てみると、コー進行において重要なドミナント(Ⅴ)とサブドミナント(Ⅳ)が共通しており、これを使用することで転調することができます。
これが使用されている楽曲として、Superflyの「愛を込めて花束を」があります。ラストサビでDsus4(C/D)のコードを使用して、転調先のKe:Aへと転調しています。
〇愛をこめて花束を / Superfly ~ラストサビ~
下属調、属調の転調
下属調への転調です。これは、五度圏で隣同士の調に位置するため、関係が深くピボットコードもたくさんあります。
これらの調関係では、もとのKeyの主和音(C)と転調先のKeyの主和音(F)が互いに共通しているため、特に違和感なく転調に成功できるといえます。
転調ポイントはCコードでもいいのですが、C7にすることでより転調感が増し、勢いづく気がします。属調の場合もそれぞれのキーの主和音が共通しているので、同じ要領でできると思います。
ピボットコードが多いだけにひっそりと転調してしまうのが下属調や属調の特徴になります。
平行調への転調
最後に平行調の転調です。平行調とは、調号が同じ調同士のことで、例えば、Key:CとKey:Amのようなものがそれに当たります。
人によっては、「そもそも平行調なんだから転調もなにもない」と思うかもしれませんが、今回は特別にピボットコードの最たる例としてみていきます。
ご存知の通り、平行調というのは全てのコードが共通しているため、言いかえれば全てがピボットコードになり得るということになります。
例えば、マクロスの「星間飛行」という楽曲がわかりやすいです。
〇星間飛行 / 中島愛 ~イントロ~
これはイントロの明るさからは一転して、Aメロでいきなり暗くなるという変化球をぶちかましてきます。(さすが菅野よう子さん。お見事)
コクリコ坂の「さよならの夏」 はその逆バージョンで、マイナーからメジャーへと転調するパターンです。これもヌルっと雰囲気が変化していると思います。
〇さよならの夏 / 手嶌葵 ~サビ~
クラシックではこのような例がよくあると考えられます。たとえば、ソナタ形式であるピアノソナタ第1番はへ短調から変イ長調に転調しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、共通コードから転調するという手法についてみてきました。
ポップスにおける転調には、Ⅲ7、Ⅵ7のようなセカンダリードミナントが使用されることが多いのですが、このようなシステマティックな転調も面白いかもしれないですね。
参考になれば幸いです。
では!
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