音楽理論

キャッチーなメロディとは何か?〜3つの要素について楽曲を例に考えてみる~

キャッチーなメロディとは?

“キャッチー”というのは「記憶に残ってしまう」「思わず口ずさんでしまう」ようなメロディのことかもしれません。

古くから親しまれている『童謡』や『クラシック音楽』『ゲーム音楽』などはキャッチーな楽曲が多く、頭の中に残りやすいと言えます。また、YouTubeでよく使用されるようなBGMもキャッチーと言えるかもしれませんね。

ということで、今回はキャッチーなメロディがどのようになっているのか考えてみたいと思います。

①メロディの音域

まず、キャッチーな楽曲は、音域が狭く作られているのが特徴です。これは、ある意味「口ずさみやすい」や「歌いやすい」と深い関係がある気がします。

メロディを分析していくと、『長2度』や『短3度』の音程を形成するパターンが多いという特徴があります。一般的には、『完全4度』以内が記憶しやすい傾向にあるようで、この範囲に収まるとキャッチーな楽曲になりやすいと言えます。

ポップスでもこういった楽曲はたくさんあります。「マリーゴールド」「チェリー」などカラオケでよく歌われるような楽曲が指標にあるのかもしれないですね。

一方、以下のようなメロディは、広い音程が短いスパンで上下するため、頭に残りにくく、口ずさみにくいものと言えます。

ひと癖があって良さそうな気もしますが、やはりとっつきにくいメロディになっていると思います。一部オクターブ跳躍などを持ってきてインパクトを残すことは構いませんが、音程があまりに上下するのはキャッチーと言いにくいかもしれません。

②音の長さ、休符について

音の長さや休符などについてです。「音価」と言われるものですが、これはかなり”均等なもの”であることが多いです。要は、小節を考えたときに「音がまばらに配置されている」ということです。

例えば、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク 第1楽章」です。このような楽曲は休符や音符の長さが均等にばらけているので、ほどよいタイム間が得られるからだと思います。

一方、音の長さが短く連続しているものは、リズムを感じるのが難しい傾向にあります。これもモーツァルトの楽曲ですが「トルコ行進曲」の後半パートなんかはそれにあたります。

人間が歌うことをあまり想定されていないボーカロイドでもこういった楽曲が多いかもしれませんね。「初音ミクの消失」「裏表ラバーズ」「背景ドッペルゲンガー」「ロストワンの号哭」など。



また、休符を多用して、メロディに緩急をつけるようなものもフレーズの流れが捉えにくく、記憶する難易度が高いと考えられます。Radioheadの「creep」という楽曲は、休符が長くフレーズの流れがとらえにくいです。


一方、One Directionで有名な「What Makes You Beautiful(Bメロ)」の例。こちらの場合は、フレーズの流れが予知できてしまうぐらい連続性があるため、スッと受け入れられるものになりやすくキャッチーな楽曲だと感じやすいです。

③とりあえず繰り返す

キャッチーな音楽は繰り返しが多いです。これは、「モチーフ」とか「リフレイン」とか言うのですが、これがかなり多用される傾向にあります。もはや純粋な繰り返しであってもよいかもしれません。


例えば、AKB48の「ヘビーローテーション」という楽曲。これは主音から順次上行する「ミ・ファ#・ソ」というシンプルなメロディがコーラスも含めると6回も繰り返されており。脳裏に焼き付けられるメロディとなっています。

また、Ed Sheeran(エド・シーラン)の「Shape of you」という楽曲もひたすら繰り返しが使用されています。


音楽でも動画などでもそうですが、クリエイターというのは同じ事をするのが嫌なのです。というより「同じことをしてはいけないんじゃないか?」と思ってしまう節があります。

ただ、音楽においてはそうではありません。同じことを繰り返すというのはむしろ強力な武器であると言えそうですね。

キャッチーな楽曲 ≠ よい音楽?

ここまでキャッチーな楽曲の特徴を紹介してきましたが、では「キャッチーな楽曲だけが良い音楽か?」というと、全くもってそうではありません。

例えば、近年大ヒットした「夜に駆ける/YOASOBI」や「CryBaby/Official髭男dism」などのメロディを見てみます。

これらの楽曲のメロディは「決して口ずさみやすい」「歌いやすいもの」ではないですし、統一したモチーフがあるかというと、そうともいえないです。むしろ、かなり複雑なものであるように感じます。


恐らく、ポップスなどのトレンド楽曲はこういった傾向にあるのだと思います。複雑なメロディは聴き手にとって刺激的なものであるため、中毒性のようなものがあるかもしれませんね。

そういう意味では、『童謡』や『ゲーム音楽』などの劇伴音楽についてはキャッチーな楽曲が好まれるのかもしれませんね。

まとめ


いかがでしたでしょうか。

キャッチーなメロディについて3つの観点から見てきました。言い方を変えると、やはりシンプルでバランスの良いものがキャッチーなメロディだと言えそうですね。


これらの観点は、あくまで多くの人に受け入れられやすいものであり、人に受け入れられるものがいい音楽かというと、そうではないのが音楽を始めとする芸術の難しいところなのかもしれません。

参考になれば幸いです。


では!

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だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

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