コード(和音)理論

世界から見た王道進行(4536進行)の魅力〜Japanese Chord Progressionと喩される日本音楽に根付いた響き〜

今回は、コード進行についてやっていきます。

日本音楽らしさを感じる響き

世界における日本音楽という観点からいろいろ考えてみたいと思います。

日本でよく使用されるコード進行として『王道進行』というものがあります。

これはディグリーでいうところの『4536(Ⅳ-Ⅴ-ⅲ-ⅵ)進行』でそれはもうさまざまな楽曲に使用されており、日本音楽らしさの要因の1つであると考えられます。

試しにYoutubeにて「Japanese Chord Progression (日本コード進行)」と検索してみると、多くの動画が投稿されており、必ずと言っていいほどこの『王道進行』が紹介されていることがわかります。


これを、そのまま直訳すると「Royal Load Progression」という、何ともカッコいい名前になりますが、この意味の解釈は少しわかりにくいものになっているようです。

日本人からすると、ここでいう「王道」というのは、レッドカーペットの上を勝ち誇ったように歩くイメージではありません。

これは「よく使用される」「定番の」という意味の他に「手軽に使用してしまう」「パクるだけでいい曲が作れる」という少し皮肉めいた意味も含まれていることがあり、これに似たニュアンスを英語の1単語に訳すのはなかなか難しい気がします。この辺については、英語版 Wikipediaの本文でも言及されています。


従って、これをそのまま「Odo-Sinko」として紹介していることもあり、海外では日本らしいコード進行として親しまれているコード進行になります。

海外で人気のある音楽が、アニメやゲーム音楽であることから、これらに付随した楽曲が紹介されていることが多く、皆さんも知っているような楽曲が多いと思います。ポップスでの使用例も含めてまとめておきます。

アニメ音楽
〇コネクト~アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」より~
〇God knows…~アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」より~
〇Don’t Say Lazy~アニメ「けいおん!」より~
〇GO!GO!MANIAC~アニメ「けいおん!!」より~
〇儚くも永久のカナシ~アニメ「機動戦士ガンダム」より~
〇運命のルーレット廻して~アニメ「名探偵コナン」より~
〇サクラミツツキ ~アニメ「銀魂」より~
〇オレンジ ~アニメ「とらドラ」より~
〇Ignite ~アニメ「ソードアートオンライン」より~
〇ゆらゆら~アニメ「ナルト」より~
〇蛍の光~アニメ「ナルト」より~
〇悲しみをやさしさに~アニメ「ナルト」より~
〇Brave Heart~アニメ「デジモン」より~
〇Life ~アニメ「ブリーチ」より~
〇空色デイズ~アニメ「グレンラガン」より~
〇Heart of Sword~アニメ「るるろうに剣心」より~

ゲーム音楽
〇パックンフラワーのララバイ~ゲーム「スーパーマリオ64」より~
〇波乗りのテーマ~ゲーム「ポケモン金・銀」より~
〇エンジュシティ~ゲーム「ポケモン金・銀」より~
〇メーベの村~ゲーム「ゼルダの伝説」より~
〇レナのテーマ~ゲーム「ファイナルファンタジーⅤ」より~
〇負けない愛がきっとある~ゲーム「ロックマンエグゼ」より~

◆POPS
〇LOVEマシーン / モーニング娘
〇Love so sweet / 嵐
〇Fragile / Every Little Thing
〇愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない… / B’z
〇ゲレンデが解けるほど恋したい / 広瀬香美
〇瞳を閉じて / 平井堅
〇ロビンソン / スピッツ
〇全力少年 / スキマスイッチ
〇卒業写真 / 松任谷由美

確かに様々なジャンル、年代においてこのコード進行が使用されており、日本音楽を語る上では重要な要素の1つなのではないかと思います。

王道進行の特徴と日本らしさ

個人的に日本音楽らしさの要因の1つに、切なさとか情緒感を感じるという要素があると思います。もっと簡単にいうと、メジャーキーの楽曲でもどこか悲しく感じる。といった感じです。(音楽的な側面ではなく、心理学的な要素も含みますが….)

王道進行というのは、メジャーキーの楽曲で使用されることが多いのですが、コードを見てみると、メジャーコード2つとマイナーコード2つでできています。

前半部分は、サブドミナント→ドミナントのメジャー系コード進行で、後半部分は、マイナーコードの5度進行でマイナー系コード進行です。

このような進行なので、最初、Ⅳ→Ⅴ→Ⅰでメジャー系終止になるかと思えば、Ⅲmに着地するという予想外な感覚を覚えますし、仕舞いには平行短調の主和音(Ⅵm)で終止するということで、どこか複雑な響きになっていると考えられます。


もう1つの解釈として、五度進行の派生という解釈もあります。本来はⅣ→Ⅶm (♭5)→Ⅲm→Ⅵmとなるのですが、Ⅶm(♭5)がドミナントの機能を持つため、その代理コードとしてⅤに入れかわったという話です。


この辺はほかにもいろいろな解釈ができそうですが、これが王道進行のコード的な特徴になります。

洋楽における使用例について

この王道進行ですが「Japanese Chord Progression」と呼ばれるだけあって、海外で使用されている例はあまり多くないようです。

〇Together Forever / Rick Astley
〇Viva La Vida / Coldplay
〇It’s Gonna Be Me / NSYNC
〇Didn’t We Almost Have it All / Whitney Houston
〇Titanium / David Guetta, Sia


いくつか紹介しましたが、確かに洋楽っぽさはあまり感じず、日本で聴き馴染みのあるような響きになっていることから、やはり、日本らしいコード進行だといえるのではないでしょうか。

まとめ


いかがでしたでしょうか。

日本は島国なので、他国の音楽文化が流入しずらく、独自の音楽性が発展しているのかもしれません(ガラパゴス化)。

今回は、その一端について考えてみました。こういった観点で音楽を見てみるのも面白いかもしれませんね。


参考になれば幸いです。


では!


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だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

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