『ぼっち・ざ・ろっく!』と転調の話
『ぼっち・ざ・ろっく』の楽曲について見ていきます。アニメも面白いですね。音楽をやっている人にとっては共感する部分も多いのではないでしょうか。
このアニメには劇中歌なども含めてさまざまな楽曲が登場しますが、実はこれらの楽曲には多くの転調が使用されています。
・青春コンプレックス (ラストサビ:半音上)
・ギターと孤独の蒼い惑星(ラストサビ:半音上)
・ひとりぼっち東京 (Cメロ:同主調(短3度))
・Distortion!!(サビ:同主調(短3度))
今回は、これらの楽曲を通じて、転調について見ていきたいと思います。
半音上(+1)の転調
半音上(+1)の転調です。これは5度圏でいうと、かなり離れたところに位置するため、調号の変化が大きく、聴き手にもわかりやすい案外インパクトのある転調となります。
コード進行をそのまま半音上げるだけでオッケーです。多少、唐突な感じがありますがこのインパクトこそがこの転調の持ち味です。
かなり高揚感に満ちた印象になるため、ポップスではラストサビで使用されることが多く「ぼっち・ざ・ろっく!」の楽曲も例外ではありません。
・ギターと孤独の蒼い惑星(ラストサビ)
「聞いて」から「聞けよ」と命令口調になる歌詞にあわせて、そのままフレーズが半音上へと移調します。このパターンは転調契機となるコードは特に必要としないことが多く、パートの区切りからそのままKey:AからKey:B♭に転調しています。
さらに「青春コンプレックス」という楽曲では1回では飽きたらず、2回も半音上の転調が転調が繰り返されています。
・青春コンプレックス(ラストサビ)
1度目はKey:FからKey:G♭、最後にKey:G♭からKey:Gへと転調しています。このように半音上の転調が「ぼっち・ざ・ろっく」の楽曲でも使用されていることになります。
同主調の転調
次は、同主調の転調です。これは、5度圏を見ると、そこそこ離れていますが、Keyの主音が共通しているため、近い関係調といえ、よく使用される転調といえます。
短3度上、もしくは、短3度下の関係なのですが、平行調で考えたときに同主調の関係になるためこう呼ばれることがよくあります。(Key:E♭の平行調がKey:Cmになるため同主調の関係になります)
暗い世界から、明るい世界に行くような感覚もあり、この感覚がサビの盛り上がりにマッチすることもあります。したがって、ポップスでよく使用されるのはKey:E♭からKey:Cのある短3度下のパターンになります。
「Distortion!!」という楽曲では、サビでこの転調が用いられており、Key:A(Key:F#m)から、Key:F#へと転調します。
・Distortion!!(サビ)
この場合だと、転調契機のコードを本来であればC#mなのですが、C#メジャーコードにすることで、5度下のコードにうまく着地できるといえます。こうすることでKey:F#へと転調しています。
「ひとりぼっち東京」では、ギターソロ(間奏)を契機として、Key:CからKey:E♭(Key:Cm)に転調しており、そのままCメロへと向かいます。Cメロからはそこから戻る形でラストサビに向かいます。
・ひとりぼっち東京(間奏~Cメロ)
このように同主調の転調もこれらの楽曲に使用されていることになります。
今回、紹介した半音上と同主張の転調はポップスやアニソンでもよく使用されるため、作曲や演奏において非常に重要になってくるのではないかと思います。
まとめ
今回は、「ぼっち・ざ・ろっく!」の楽曲を通じて転調についてみてきました。ロックはもちろんポップスでは比較的よく使用される転調手法になると思います。
参考になれば幸いです。
では!