今回は、「うっせぇわ/Ado」のコード進行、音楽理論の解説です。最近、ネット上で大ブレイクしているこの楽曲ですが、なかなか面白い楽曲なので解説したいと思います。
では、いきましょう!
楽曲のコード進行
この楽曲のキーは「Bマイナー(#2つ)」です。マイナー進行を主体とした暗めのコード進行なので、マイナーキーにしています。慣れない人は平行調である「Dメジャー(#2つ)」でもいいかと思います。
Bマイナーダイアトニックコード
Bマイナーダイアトニックコードは以下のようになっていますので参考にしてください。
Aメロのコード進行
Aメロのコード進行はこのようになっています。注目するのはBマイナーなのにもかかわらずF音(ファ)が使用されている部分。
このF音はスケールでいうと「ブルーノート(Bule note)」というものです。ジャズやブルースで多用される音で♭5th音がブルーノートになります。(ちなみに、平行調のDメジャーで考えると♭3rd音がブルーノートになります。)
この由来としては、奴隷として連れてこられた黒人に、白人が西洋音階であるメジャースケールを教えたところ、3rd音が上がりきらないピッチのずれた妙な音程で歌いだしたことにあるといわれています。(所説あり。)
この響きがどこか「もの悲しい」「憂い」に似た雰囲気を帯びていたため、Blue(意味:憂鬱、もの悲しい、嘆き)という意味の「ブルーノート」と名付けられています。
この由来を考えると、「もの申す」「メッセージ性」を感じる、この楽曲にはぴったりの音使いなのではないでしょうか。他のBメロやサビでも、この「ブルーノート」が頻繁に使用されていますので、意識して聴いてみてください。
Bメロのコード進行
Bメロのコード進行です。ここでも重要な部分がF#コードですね。よくよく見てみると、これはBマイナーダイアトニックコードには”ない”コードになっています。
このコードの正体は、「ハーモニックマイナーダイアトニックコード」というものです。マイナーには3種類のダイアトニックコードがあるんでしたよね。(『King Gnu / 三文小説』の記事でも解説していますので、参考にしてください)
ハーモニックマイナーの方が、独特で強烈な響きがあり、マイナー調の楽曲ではこの響きが好まれることが多いです。癖があってカッコイイ響きなのです。
- ナチュラルマイナー(自然的短音階)
- ハーモニックマイナー(和声的短音階)
- メロディックマイナー(旋律的短音階)
したがって、これはBハーモニックマイナーから持ってきたコードになります。メロディにもこのF#音が多用されていますよね。
この楽曲では、今まで紹介した2つの音が楽曲の雰囲気を大きく形作っていますので、ぜひ参考にしてください。
- F音(ファ):ブルーノート(♭5th)
- A#音(ラ#):ハーモニックマイナー(7th)
サビのコード進行
次はサビのコード進行。これは「♭Ⅵ-Ⅴ-Ⅰm-♭Ⅲ」というコード進行になっています。
気づいたかもしれませんが、Dメジャーで考えると「Ⅳ-Ⅲ-Ⅵm-Ⅰ」という「Just The Two Of Us進行」になっています。この進行を使用した楽曲、最近は本当に多いですよね…。
楽曲の転調について
この楽曲で使用されているのは、ラストサビの半音上の転調(+1)です。キー:Bマイナーからキー:Cマイナーになっています。では、これについて見ていきましょう。
ラストサビの転調:半音上(+1)
転調部分はこんな感じです。「天才です」というブレイク(休符)からそのまま半音上へと転調しています。
ごくごく自然な転調ですね。ラストサビの半音上の転調はJ-popではお決まりのパターン。楽曲の盛り上がりをラストサビで最高潮に持っていきます。聴衆にも馴染みがあり、カッコいい転調なので、使い勝手がいいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
マイナー調の楽曲ということで、不気味な雰囲気もあり、かっこよさもアリといったような感じでしょうか。何といってもポイントは「ブルーノート」「ハーモニックマイナー」の2つの音使いです。非常に重要な理論になりますので、ぜひ覚えてみてください!
参考になれば幸いです。
では!
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