aikoのカブトムシです。4作目のシングル。1999年のポップスを代表する名曲ですね。ポップスにジャズのテイストを感じさせるおしゃれな曲でもあります。
では、いきましょう!
キー:E♭メジャー
(♭3つ)
Aメロ
3〜4小節目
Cm→B♭m7→E♭7→A♭:Ⅵm→Ⅴm7→Ⅰ7→Ⅳ
B♭m7→….A♭の部分はツーファイブワン進行になっており、一時的にA♭メジャーに転調していると考えることができます。
このように、解決先の直前のコードにツーファイブを挿入するパターンはジャズで多用されます。この曲にはこのアプローチが多用されており、これがおしゃれな雰囲気を演出している要因の1つです。
5〜7小節目
Gm7→C7→Gm7→A♭:Ⅲm7→Ⅵ7→Ⅲm7→Ⅳ
Gm7→C7はツーファイブの形になっていますね。本来であれば、この後にドミナントモーション先(5度下)のFコードに進行するのですが、Gm7コードになっています。偽終止というものですね。「おっ!」という予想外な感じがすると思います。
メロディ:「行ってしまえ…そう」
この部分のメロディ音としてC7コードのE音が使用されています。Cコードの3rd音です。
8小節目
A♭m7→B♭:Ⅳm7→Ⅴ
A♭m7コード(Ⅳm7)はサブドミナントマイナーの代表的なコードです。一時的にE♭マイナーダイアトニックコードを使用することで、少し暗い感じの切ない響きがします。
メロディ:「あたしは弱い…」
A♭m7コードの構成音であるG♭音が使用されています。7thの音です。スケールで考えるとE♭マイナースケールの♭3rdの音になります。いずれの解釈せよ、マイナー感を強く感じさせる音使いです。
Bメロ
4小節目
Fm7→Fm7/B♭:Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ
分数コードが使用されていますね。ここはFm7→B♭7という進行でも問題ありません。B♭7の代わりとしてFm7/B♭が使用されているだけです。
ツーファイブという形はよく使用されるので、ベースラインだけ動かしてⅡm→Ⅱm/Ⅴという形で使用されることがあります。演奏的にも楽だからですね。コードを構成音も似ています
B♭7コード構成音:B♭・D・F・A♭
サビ
3〜4小節目
G7→G7/B→Cm→B♭:Ⅲ7→Ⅲ7/♯Ⅴ→Ⅵm→Ⅴ
ここでも分数コードが使用されています。これはBdimコードでも問題ありません。コード構成音もほぼ同じです。
Bdimコード:B・D・F・A♭
メロディ:「あなたの耳によせた..」
「あなたの…」の部分にG7コードの3rd音であるB音が繰り返し使用されています。コードの響きをかなり強調するような音使いが特徴的てす。
5〜6小節目
A♭→A♭m7→Gm7→G♭6:Ⅳ→Ⅳm→Ⅲm→Ⅲ♭6
ややこしいコード進行ですが、特に難しく考える必要はありません。同主調(E♭マイナーダイアトニックコード)を使用して、半音ずつ下降していくような進行です。最後のG♭6コードのトップノートが意識されているためです。
A♭m7コード、G♭コード:E♭マイナーダイアトニック
13〜14小節目
Am7→A♭6→Gm7←G♭6:Ⅴ♭m7→Ⅳ6→Ⅲm7→Ⅲ♭6
ここも順番に下降してくるようなコード進行になっています。最初のAm7コードは、E♭メジャーダイアトニックから大きく逸脱していますが、非常にインパクトのあるコードとなっています。
和声的に無理やりこじつけることもできますが、ここは半音ずつの下降進行を意識して使用したというぐらいで良いかと思います。A♭6、G♭6コードについてはコードのトップノートがメロディに付随する形になっています。
メロディ:「生涯…忘れる…」
サビのクライマックスの部分。ここのメロディにコードのトップノートが引っ張られています。「生涯..」の「しょ」の部分もC音が使用されたおり、Am7の3rd音となっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
サビの冒頭から後半にかけてのコード進行が巧妙ですね。非常にドラマティックな印象を受けました。サビでシンプルなコード進行になるのはよくありますが、逆はなかなか珍しいですよね。
楽曲アレンジや音楽理論を学ぶうえで非常に参考になる楽曲だと思います。
参考になれば幸いです。
では!
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