最近のアニソンがすごい!
久しぶりに楽曲分析。最近のアニソンについて見ていきたいと思います。
最近は、アニメと著名アーティストのタイアップがなされ、オリコンチャート上位にアニソンが食い込むことも珍しくなくなりました。
世間的にも大きく注目されることが多くなったアニソンですが、今回は、最近の話題になった楽曲について和声的な観点からいろいろ見ていきたいと思います。
アニメ『リコリス・リコイル』より
花の塔 / さゆり
アニメ『リコリス・リコイル』EDテーマ曲。ポップなテイストながらもどこか切ない雰囲気を感じます。
Key:A♭(♭4)でサビでKey:A(#3)へと半音上の転調しています。
○花の搭 -Aメロ抜粋-
○花の搭-サビ抜粋-
楽曲全体として小室進行(6451進行)で構成されているのが特徴です。
小室進行は「Summer」「変わらないもの」「夏影」「you」等のバラード調の楽曲で用いられ、切なさや哀愁を感じるコード進行なのですが、このようやポップで明るい楽曲で用いられているのが面白いと思います。
明るい日常の中にも、悲観な運命に突き進んでいく主人公たちと関連した雰囲気も感じますよね。
Bメロは、Ⅰ/Ⅲ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅵmの上行進行から、Key:Aのコード(E→G#)に進行することでサビへ繋いでいます。
○花の搭 -Bメロ抜粋-
ちなみに2番はサビで転調することなく、そのままKey:A♭のまま進むので「え!?」ってなる楽曲です。
アニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』より
天灯 / sajou no hana
アニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』OPテーマ曲。ロックなバンドサウンドで爽やかな楽曲となっています。
Key:E♭(♭3)で転調はありません。
非常に爽やかな雰囲気の楽曲となっています。ギターのコードボイシングに○maj7が多用されているのが1つの要因だと考えられます。
この楽曲についてもAメロは6451の小室進行でできています。
○天灯-Aメロ抜粋-
対してBメロは4536の王道進行。
○天灯-Bメロ抜粋-
サビは、456の上行進行で疾走感が出るコード進行になっています。
○天灯-サビ抜粋-
コード進行に関しては「ザ・アニソン」という進行が盛り込まれており、非常にキャッチーな楽曲だと感じますね。
アニメ『チェンソーマン』より
KICK BACK / 米津玄師
アニメ『チェンソーマン』OPテーマ曲。共同編曲者に常田大希ということで、節々にその要素を感じることができます。
かなり転調が多く、サビまでで3回の転調を繰り返します。
・イントロ〜Aメロ…Key:B♭m
・Aメロ〜Bメロ…Key:Gm→Key:Dm
・Bメロ〜サビ…Key:B→Key:E
コードについてはかなり複雑で部分的なモーダルインターチェンジや部分転調を頻繁に繰り返す楽曲となっています。
コード進行にセカンダリードミナントが多用されており、かなりKeyが曖昧になっています。
○KICK BACK -Aメロ抜粋-
Bメロも転調が繰り返されています。コード進行については、やはりKey以外のコードが多用されており難解です。このようなコード進行に常田大希っぽさが出ていると感じます。
○KICK BACK -Bメロ抜粋-
AメロやBメロと比較すると、サビは比較的スッキリしたコード進行になっており、サビでのキャッチーさはある程度、残した楽曲展開になっていると感じます。
○KICK BACK -サビ抜粋-
アニメ『SPY×FAMILY』より
SOUVENIR / BUMP OF CHICKEN
アニメ『SPY×FAMILY』OPテーマ曲。BUMP OF CHICKENです。
Key:D(#2)で転調はありません。
楽曲を通して、G→F#m7→Emという下行進行が多用されています。
○SOUVENIR -Aメロ・サビ抜粋-
下行進行というのはなかなかなか珍しく、これもまた違ったサウンド感がありますね。(最近では、Habbitなんかが下行進行を駆使した楽曲ですが…)
また、この楽曲では、Bメロのコード進行がクリシェになっているのが印象的です。
○SOUVENIR -サビ抜粋-
まとめ
いかがでしたでしょうか。
前半の2曲は「ザ・アニソン」という感じですが、後半の2曲は、コード進行などを考慮してもかなりテイストが異なっていると感じました。
決して悪いことではありませんが、アニソンも次第にポップス化する傾向にあるのかもしれませんね。
では!