YoutubeやSNSで手軽に演奏動画や楽曲をアップロードできるようになりましたね。DAWソフトを使用してギター宅録を行っている人も多いと思います。
そこで問題になってくるのがレイテンシー(演奏したギターの音が遅れて聴こえてくること)です。レイテンシーが大きいと演奏しにくく、まともに宅録なんかできません。
この記事では、レイテンシーが生じる理由とその対策について紹介します。
レイテンシーが生じる4つの原因
レイテンシーが生じるのには主に以下の4つの原因があり、これらの処理時間の合計がレイテンシー時間として反映されます。 イメージとしては図のようになりますね。
- ギター入力信号のA/D変換、出力信号のD/A変換の時
- オーディオインターフェイス⇒パソコンのデータ送信の時
- ドライバーでオーディオインターフェイスを動作させる時
- プラグインでの歪み・エフェクト処理の時
ギター入力信号のA/D変換、 ギター出力信号のD/A変換の時
1つ目のA/D変換とは、オーディオインターフェイスに入力されたギター信号をパソコンで処理するために「アナログ⇒デジタル信号に変換すること」です。
一方、D/A変換とは、パソコンで処理した信号をスピーカーやヘッドホンに出力するために「デジタル⇒アナログ信号に変換すること」です。
このアナログ⇔デジタル変換の処理にかかる時間がレイテンシーの原因となります。
オーディオインターフェイス⇒パソコンのデータ送信の時
2つ目は、オーディオインターフェイス⇒パソコンへとデータを送信する際に生じるレイテンシーです。これにはバッファーサイズが関係しています。よく耳にする用語ですよね。
このバッファーとは、オーディオインターフェイスに入力された信号を一時的に溜めておく場所のことです。
このサイズが小さいほどデータを早く外に汲み出さないといけなくなるため、結果的にレイテンシーが小さくなります。
しかし、バッファーサイズを小さくすればいいというわけではありません。これには、パソコンに大きな負荷がかかるんですね。したがって、PCのスペックに依存することが多いです。
ドライバーでオーディオインターフェイスを動作させる時
3つ目は、ドライバーの問題ですね。ここでいうドライバーとはオーディオインターフェイスを動作させるためにパソコンにインストールするもの。音楽制作に適していないドライバーで動作しているとレイテンシーが大きくなってしまいます。
基本的には、付属のものをインストールするので、これが直接的な原因になることは少ないかと思います。
プラグインでの歪み・エフェクト処理の時
4つ目は、ギタープラグインによるもの。例えば、『Amplitube』『BIAS』『Guitar Rig』などが有名ですよね。
これで積極的に音作りをで行っている場合は、レイテンシーが生じることがあります。まぁ当然といえば当然で録音時のギター入力信号をリアルタイムで処理しているからですね。
再生時には問題がないことに注意してください。トラック再生時にはプラグインごとに遅延補正機能(レイテンシー補正)が適応されるので他のトラックの合わさるように再生されます。
なので、普通に聴いている時やミックス作業などで各トラックがずれて聴こえるなんてことはありません。
一方、録音時には遅延補正機能が適用されないまま演奏するので、レイテンシーを感じることになります。
レイテンシーを改善する4つの対策
これまでの説明でなんとなく、レイテンシーが生じる原因が分かったのではないでしょうか。次は、上記であげた4つの原因に対して効果的であろう改善策を紹介したいと思います。
ギター入力信号のA/D変換、D/A変換の解決策
この点に関しては、以下の2つの方改善策があります。
1.ダイレクトモニタリング機能を使用する
オーディオインターフェイスに『ダイレクトモニタリング機能』が付属している場合は、これを使用しましょう。
パソコンで処理された音を聴かずに、オーディオインターフェイスの音を直接聴くため、A/D変換、D/A変換のレイテンシーの影響を省くことができます。要は、演奏したギター入力信号を直接ヘッドホンやスピーカーで聴くことが出来るということですね。
イメージはこんな感じですね。パソコンを経由しているわけではないので、パソコン関連の処理時間をスキップすることが出来ます。
※ギタープラグイン(Amplitube、BIAS、Guitar Rig)などで音作りをしている場合には使用できない改善策です。DAWで歪み・エフェクト処理をしていない音を聴くことになるためです。
2.A/D、D/A変換処理が速いオーディオインターフェイスを使用
A/D変換、 D/A変換処理はオーディオインターフェイスの品質に依存しますので、オーディオインターフェイスを高品質なものにすることによってレイテンシーを最小限に抑えることができます。
オーディオインターフェイスには本当に様々な価格帯の製品があるのでこの辺は経済状況に合わせて購入する必要があります。一般手的には、Thunder Bolt、USB3.0接続のオーディオインターフェイスが処理が速い傾向にあります。
おすすめのオーディオインターフェイス
オーディオインターフェイス⇒パソコンのデータ送信の改善策
これはもうバッファーサイズを小さくするにつきます。入力と出力レイテンシーの合計が~10ms程度にすると気になりにくい気がします。(それでもカッティングとかはきついですが..。)
ただ、小さくしすぎるとパソコンに負荷がかかり、トラック再生時に「プチプチ…ザザッ..」というようなノイズが入りますので注意しましょう。
バッファーサイズをどれだけ小さくできるかというのはパソコンのスペックに依存するので、パソコンを買い替えるしか改善策はほとんどありません。
ドライバーでオーディオインターフェイスを動作させる改善策
これは、直接的な原因にはなりにくいのですが、音楽制作に適したドライバーに設定することでレイテンシーを最小限にできます。
有名なものにはASIOドライバー(Mac,Windows対応)、Core Audioドライバー(Macの標準オーディオドライバー)があります。
特にASIOはDTMのスタンダードといわれる高性能なオーディオドライバーなので、迷ったらとりあえずASIOにしておけば大丈夫です。
一応、確認してみてください。
プラグインでの歪み・エフェクト処理の改善策
プラグインで音作りをしている場合はけっこう厄介です。ここでは2つの改善方法を紹介しておきます。
1.オーディオインターフェイス付属のマルチエフェクターを使用
1つは、プラグインでの音作りをあきらめるということ。要はプラグインを使用せずに、オーディオインターフェイス付属のマルチエフェクターなどで音作りをして録音するということです。
この場合は、演奏した音をマルチエフェクターに接続したスピーカーやヘッドホンから聴くことになります。DAWを介する必要がありませんので、レイテンシーはほぼ皆無です。
録音される音は、マルチエフェクターで処理された音が即論されることに注意してください。つまり、後で、ギタープラグインなどで歪み・エフェクト処理などをすることができないということです。
主なマルチエフェクター
2.出力される音をプラグインのスタンドアローン機能で聴く
ギタープラグインで音作りをする場合、この方法はけっこう有効だと思います。
私はこの方法でだいぶ改善しました。DAW上で出力された音を聴いて演奏・録音するのではなく、プラグインをスタンドアローン機能で立ち上げて、その音を聴くということです。DAWを介さないのでレイテンシーを抑えることができます。
これについては参考になる動画がありますので載せておきます。
UAD付属のオーディオインターフェイスを使用する
これまでの改善策を講じたうえでどうにもならないのであれば、UAD付属のオーディオインターフェイスを活用すれば万事解決です。(決して回し者ではありませんが…)
UNIVERSAL AUDIO製品は、ギター音作りがオーディオインターフェイス付属のUADで行うことができる製品で、歪み&エフェクト処理したギター音で録音することができます。
さらに、録音された音は、ギター生音なので、後でプラグインによるエフェクト処理も可能です。したがって、かなり扱いやすい製品だといえるでしょう。ギタリストに人気のオーディオインターフェイスというのも納得できますね。 少し高価なのが難点なので、予算と合わせて検討してください。
※Mac用(Thunderbolt)とWIN用(USB3.0)用があるので注意してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ギター宅録では必ずといっていいほどレイテンシー問題に悩まされることになります。 まずは、ここで紹介した方法を試してみてください。レイテンシーをゼロにするというのは不可能なので耳で聞いて気にならないのであればOKです。
パソコンやオーディオインターフェイス、マルチエフェクターを買い替えると決して安い買い物ではありませんので予算と相談してください。
参考になれば幸いです。
では!