今回は、ハーモニックマイナーについて見ていきたいと思います。
ハーモニックマイナーとは?
今回は、ハーモニックマイナーについてです。これはJ.S.バッハの「トッカータとフーガ 二短調」の冒頭で使用されており、何か鼻につくような独特の響きを感じます。
マイナースケールとして以下の3種類がありますが、これらの大きな違いはルート音に対する導音(第7音)にあります。
・ナチュラルマイナー(Natural minor, 自然的短音階)
・ハーモニックマイナー(Harmonic minor, 和声的短音階)
・メロディックマイナー(Melodic Minor, 旋律的短音階)
例えば、通常のナチュラルマイナースケールの場合、ルート音に対する導音(第7音)が”全音の間隔”になっており、鼻につくような感じはせず、サラッとした雰囲気(解決感が弱い)になります。
一方、ハーモニックマイナースケールでは、この導音(第7音)を半音上げることによって、ルート音との間隔が”半音間隔”になり、その結果、強い解決感が生まれ、よりメロディアスになるといえます。
ダイアトニックコード(Ⅴ7)が変化
ハーモニックマイナーのもう1つの特徴として、スケールから生まれるダイアトニックコードにあります。ハーモニックマイナーでは、スケールの第7音を半音上げたことにより、5番目のコードが、メジャーキーと同様にドミナントセブンスコード:Ⅴ(或いはⅤ7)になり、主和音に対する解決感が強くなります。
例えば「バッハ フーガ ニ短調」にコードをつけてみるとこのようになります。
ショパンの「Etude Op.10 No.12<革命のエチュード>」の冒頭も、G7(Ⅴ7)の転回形和音が使用されていると考えられます。
このような例もあって、これらの響きというのは、クラシックでは基本とされており、やはり印象も「クラシックっぽい響き?」と認識する人が多いのではないかと思います。
とある光速ギタリストも好む
ロックの文脈で使用されている例としては、光速ギタリスト「イングヴェイ・マルムスティーン」が有名で、いかにもクラシックっぽい雰囲気をしているのがわかります。独特の”クラシック臭さ”があり、アーティストとしてかなり強烈な個性が出てしまっているのがわかると思います。
使用楽曲について
ポピュラー音楽においても、部分的に使用されている例があります。これについても紹介しておきたいと思います。
Girl / The Beatles
ビートルズの「Girl」という楽曲です。Key:Cm(♭3)で、ナチュラルのB音が使用されています。さらに、その前の小節では、G7というハーモニックマイナーから引用されたコードが使用されており、たしかに少し変わった雰囲気のするマイナー調の楽曲となっています。
馬と鹿 / 米津玄師
米津玄師の「馬と鹿」という楽曲です。マイナー調の楽曲ですが、至るところにハーモニックマイナーの響きが使用されています。サビの繋ぎの部分ですが、コード進行はG7→Cmとなっており、メロディもナチュラルのB音が使用されていますよね。
情熱大陸/葉加瀬太郎
葉加瀬太郎の情熱大陸テーマにもわかりやすい形で、ハーモニックマイナーが使用されています。メインテーマ部分だけ聴いてみると、Dハーモニックマイナースケールを下行していくフレーズになっています。
LOVE LOVE LOVE / DREAMS COME TRUE
「LOVE LOVE LOVE」という楽曲です。サビのコード進行がF7→B♭mとなっており、ハーモニックマイナーの解決コード進行です。さらに、メロディ部分もB♭mの第7音を半音上げたナチュラルのA音が使用されています。
この楽曲に関してはクリシェが主体のコード進行となっていて素敵な楽曲になっていますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、ハーモニックマイナーについて見てきました。クラシックでは基本のマイナースケールということで、クラシックっぽい響きがするスケールなのかなと思います。
参考になれば幸いです。
では!