ポップス・ロック

楽曲の“パクり”という手法について~楽曲制作におけるサンプリング、オマージュの話~

楽曲制作におけるパクるとは?

音楽というのは、クリエイティブの賜物と言えますが、実際には、作者の過去の経験や音楽性をもとに、聴いたことのあるフレーズやサウンドを上手く盛り込むことによって、楽曲を制作していくということになります。

したがって、“意図せず”過去の作品に似てしまうということが多々ありますし、あるいは、いっそ”意図的に”同じにしてしまうというようなこともあります。

特に後者については「サンプリング」「オマージュ」なんか言われたりしますが、実は、最近のJpopでもこういった例はたくさんあります。

「KICK BACK」米津玄師

有名なのが米津玄師の「KICK BACK」。

これは、2002年にリリースされたモーニング娘の「そうだ!We’re ALIVE」の冒頭に登場する「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR…」というフレーズを盛り込んでおり、これは一種のサンプリングと呼ばれる手法です。

かなり希なケースですが、対談にもあるように、作者(つんく♂)の許可が得られており、要は歌詞をそのまま転用した例だといえます。

このような例の1つとして、レディ・ガガの「Poker Face」があります。間奏に登場する「Mum mum mum mah…」というフレーズは、ボニー・M「Ma Baker」を引用していると言われており、これも同じような発想だと言えそうですね。

「色彩」yama

さらに、サウンド面に関しては、yama「色彩」のイントロフェードイン。これはおそらく、Grover Washington「Just The two Of Us」のイントロ音源を意識して作成されたものだと考えられます。

エレピの感じが確かに似ていると思います。皆さんご存じの通り「色彩」という楽曲は終始Just The Two Of Us進行(Ⅳ→Ⅲ7→Ⅵm→Ⅴ→Ⅰ)でできているため、いっそ「もとの楽曲を盛り込んだらかっこいいのでは?」という感じで着想を得たものだと考えられます。

音源をそのまま活用するのはあり?

このように、Just The Two Of Usという楽曲はいろいろな方面で多大な影響を与えているわけですが、中には音源をそのまま用いているものもあります。例えば、2Pac「Cause I Had 2」やAround The Way「Really Into You」などです。

これがいわゆる。一般的なサンプリング手法と呼ばれるものかもしれません。ここまでするのはありなのかというと、微妙なところもあるのですが、少なくともヒップホップやR&Bジャンルではよくやられており、ループや継ぎ接ぎによって再構成する手法として確立されているといえます。

音源そのままサンプリング例

・Crazytown「Butterfly」← Red Hot Chili Pappers「Pretty Little Ditty」(ギターフレーズ)
・Janet Jackson「All For You」 ← Change「The Glow Of Love」(ギターカッティング、リズムパートもろもろ)
・Sean Kingston「Beautiful Girls」 ← Ben E. King「Stand By Me」(ベースフレーズ)
・T.I.「Kive Your Life ft. Rihanna」 ← O-Zone「恋のマイアヒ」

など…


特に、楽曲制作では、安易に”バレない”ことや取り入れやすいということから、ドラムやパーカッションなどのリズムパートでよく使用される傾向にあります。

一番よく使用されているサンプリング音源としては、The Winstons「Amen,Brother」という楽曲の1:26に登場するドラムソロパート(6秒くらい)で、現在までに2〜3000近くの楽曲に使用されていると言われています。

皆さんも聴いたことあるリズムパターンかもしれませんね。これは「アーメン・ブレイク」として広く知られており、多種多様に形を変えて、現在でもあらゆる楽曲に登場しています。

このように、サンプリング手法は楽曲制作において頻繁に使用されるため、これらの元ネタを探すサイトとして「WhoSampled」というサイトがあります。興味のある方は調べてみてください。

「ホワイトノイズ」Official髭男dism

また、Official髭男dismの「ホワイトノイズ」という楽曲。これはオマージュという言い方が正しいと思うのですが、イントロがあの楽曲に類似したサウンドになっています。

偉大なメタルバンド「SLAYER」の「Raining Blood」に類似しており、作曲者の音楽性がよく伺えますね。このような例は、2人組ロックバンドのB’zが有名で、偉大なロックミュージシャンのフレーズが楽曲に取り入れられていることが多々あります。

ロック・メタルミュージシャンのオマージュ例

・BAD COMUNICATION ← Red Zepperin「Trampled Under Foot」
・ALONE ← Motley Crue「Time For Change」
・Calling ← AC/DC「The FUROR」
・ZERO ← Eagles「Victim of Love」
・一途 / King Gnu ← Arctic Monkeys「Brianstorm」
・ロストワンの号哭 / Neru ←Iron Maiden「The Trooper」」


このように印象的なリフを楽曲のイントロに盛り込むという手法はポップスでもよく使用されると言えそうですね。

まとめ



いかがでしたでしょうか。


音楽では、過去の偉大なミュージシャンをリスペクトする結果として、それらのサウンドを自身の音楽に取り入れるという手法がよく用いられます。コード進行なんかだとパクる(というより、数がそもそもあまりない)のは普通なのですが、サウンドや歌詞をそのまま盛り込んでしまうという発想はなかなか面白いのかもしれません。


参考になれば幸いです。


では!

(ここでサンプリング、オマージュとして紹介した楽曲は、もちろん公表されていない例もたくさんあり、個人の解釈も混じっていることを最後に言っておきます)

音源・ストリーミング


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だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

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