今回は、Official髭男dismのイエスタデイです。映画『HELLO WORLD』の主題歌にもなっています。ノリにのって2019年の紅白出場を果たしましたね。
では、いきましょう!
キー:G♭メジャー
(♭6つ)
Aメロ
6〜7小節目
B♭m7→Ddim→E♭m7:Ⅲm7→♯Ⅴdim→Ⅵm7
dimコードが使用されています。これは経過音(パッシングコード)と呼ばれます。次のコードへ半音隣からアプローチすることで、コード進行をスムーズにすることができます。
アクセント的に使用されることが多く、言わば、すこしエモイ感じを演出することができます。中でも、ここで使用されている♯Ⅴdim→Ⅵm7というパターンは定番です。
8〜9小節目
D♭m7→Cm7(♭5)→C♭△7:Ⅴm7→♯Ⅳm7(♭5)→Ⅳ△7
パッと見ると、なんじゃこれ。という進行ですが分解して見てみましょう。
最後に解決するコードがC♭△7ということを考えると、ここのD♭m7は、ツーファイブワン進行のⅡm7という見方ができます。なので、本来は以下のコード進行になります。
そうなると、ここのCm7(♭5)コードは、G♭7の代理コードとして使用されている可能性が高いです。構成音を見てみましょう。
G♭7コード構成音:G♭・B♭・D♭・E
ルート音と3rd音が共通しています。なので、代理コードとして使用されている可能性が高いです。※ただ単に、半音隣の音からアプローチする経過音(パッシングコード)としても考えた方がシンプルで分かりやすいかもしれません。
11〜12小節目
A♭m7→Fm7(♭5)→G♭:Ⅱm7→Ⅶm7→Ⅰ
これは、ツーファイブワン進行が基本となっています。通常であれば、D♭7を使用するのですが、ここではその代理コードとしてFm7(♭5)が使用されています。
ここでのコード進行:A♭m7→Fm7(♭5)→G♭
捕捉しておくと、Ⅴ7の代理コードとして、Ⅶm7(♭5)が使用できます。構成音が似ているからですね。どちらのコードも機能としてはドミナント(D)の部類に入るので、覚えておくといいかもしれません。
Fm7(♭5)コード構成音:F・A♭・C♭・E♭
15〜16小節目
A♭m7→D♭7→G♭:Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅰ
ここは通常のツーファイブワン進行です。
Bメロ
Bメロ全体
Bメロで転調しています。G♭メジャー(F♯メジャー)⇒F♯マイナーの転調ですね。
同主調の転調です。同主調のマイナーからメジャーへの転調はよくあるのですが、メジャーからマイナーへの転調はあまりないです。そういうこともあって、聴いている感覚としてはかなり大胆な転調の印象をうけます。
1〜4小節目
D→E→F#sus4→F#:♭Ⅵ△7→♭Ⅶ→Ⅰsus4→Ⅰ
Bメロでマイナーに転調したといいましたが、ここでいきなり主和音(Ⅰ)のメジャーコードが使用されています。なので、このパートはかなりキーが曖昧になっています。
このように、メジャーとマイナーが行ったり来たりする作曲手法を”モーダルインターチェンジ”といいます。
○sus4→○というコード進行は、sus4コードの使用方法としては定番パターンですね。
メロディ:「思いやり合っていたい..」
この部分のメロディ音はコードのF#コードに付随してA#音が使用されています。コード構成音の3rdの音です。
サビ
サビ全体
ここでキーがG♭メジャーに戻ります。
F#マイナー⇒G♭メジャーの転調ですね。ここ同主調の転調です。
2〜4小節目
C♭→D♭→B♭m7→E♭m7:Ⅳ→Ⅴ→Ⅲm7→Ⅵm7
Ⅳ→Ⅴ→Ⅲm→Ⅵmの王道進行です。
ポップスで非常によく使用されるコード進行パターンです。
AメロとBメロで複雑なリハモや転調を行った後、サビでシンプルな定番進行を使用しているあたりが凄いと思います。
曲としてのキャッチーさを重視されているのがよくわかります。映画のタイアップ曲でもあるので、この辺は意識されて作曲されていると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
AメロとBメロはかなり盛りだくさんで、あらゆる作曲手法が使用されていました。
一方、サビは王道進行のみのシンプルなコード進行が使用されています。
“タイアップ曲としてのキャッチーさ”と、”作曲者としてのやりたいこと”をバランスよく混ぜ合わさせて制作してあるという印象を強く受けました。難しさはほどほどに、シンプルなキャッチーさを忘れない。多くの人に聴かせる曲を作るうえではこの辺のバランスは重要ですよね。
参考になれば幸いです。
では!
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