音楽の世界では長調(メジャー)と短調(マイナー)で24個のキー(調)が存在します。このキーは楽曲の雰囲気やイメージを決定するうえで重要な要素となります。
また、様々なキーを使いこなせるようになることは作曲、フレーズのインスピレーションを生むうえでも非常に役に立ちます。今回は、音楽において重要な概念であるキーに着目して、その特徴・イメージについて考えてみたいと思います。
では、いきましょう!
キー(調)の性質
キー(英語:Key)とは調号(英語:Key Signature)であらわされるものですね。Cメジャー(ハ長調)であれば「何もなし」で、Dメジャー(ニ長調)だと「#が2つ」という具合になります。
多くの楽曲は、このキー(調)に基づいて作られていることが多く、これによってスケールやコードが選択されているため、“楽曲の雰囲気を彩る重要なもの”になっています。クラシック音楽では特にそういった性質があることから『調性格論』という言葉もあるそうですね。
和声の世界(平均律)では「F→G→Em→Am」という進行と「G→A→F#m→Bm」という進行は、相対表記(ディグリー)が「Ⅳ→Ⅴ→Ⅲm→Ⅵm」なので、性質が同じようなものと捉えられる(これはこれで便利なんですけどね…。)ため、こういったキー(調)の特徴・性格はいつの間にかどこかに忘れられてしまいがちなのです。
しかし、実際には違う音が鳴っているわけなので、耳に飛び込んでくる音成分(周波数など…)は異なっていることには違いありません。自分の感覚と一致した調性を選択できることは音楽的な表現を研ぎ澄ますうえで重要なことだと考えられます。
以降ではキーの印象・イメージについて順番にみていきたいと思います。
※色々な観点での情報を参考にしていますが、主観が入ってしまう部分もあるということだけご了承ください。
各キー(調)の特徴・印象の一覧
各キーの特徴・印象について紹介します。クラシック音楽では題名に「〇〇長調、▲▲短調」とつけられていることから作曲家が調に対してどういった感覚をもっているかが顕著に現れていると言えます。どれも有名曲をピックアップしたので聴いてみてください。
一方、ポピュラー音楽(ポップス、アニソン…)の場合は、歌い手の声域や演奏面の要素も含まれることが多いので、それらの性質は弱くなり、参考程度になるかと思います。
Cメジャー(ハ長調)
音楽の基準ということで、濁りっ気のない感じでしょうか。ピアノの鍵盤のイメージが強いので「真っ白」や「純粋」のような印象をもっている方も多いかと思います。
使用されている楽曲
・ベートーヴェン第5番<運命> 第4楽章
・モーツァルト ピアノ・ソナタ ハ長調
・キセキ / Greeeen
・チェリー / スピッツ
・Tomorrow never knows / Mr.Children
Dメジャー(ニ長調)
ちょっと敷居が高いというか高尚なイメージですかね。まさに光がパァーっと降りてくるイメージ。祝福の雰囲気の楽曲でもよく使用される調。
使用されている楽曲
・バッハ パッヘルベル・カノン
・ベートーヴェン 交響曲第9番 第4楽章
・ヨハン・シュトラウス ラデツキー行進曲
・Summer / 久石譲
・恋するフォーチュンクッキー / AKB48
・TSUNAMI / サザンオールスターズ
・HANABI / Mr.Children
Eメジャー(ホ長調)
自然な感じ。広大な自然というよりは少し川の流れがあったり、花が咲いていたりといった繊細な感じですかね。また、バラードでは色気みたいなものを感じさせるようです。
使用されている楽曲
・ヴァイバルティ「春」
・ショパン「別れの曲」
・ロッシーニ 歌劇 <ウィリアム・テル> 序曲
・栄光の架け橋 / ゆず
・RPG / SEKAI NO OWARI
・ハナミズキ / 一青窈
Fメジャー(ヘ長調)
♭系のキーということで少し柔らかで包み込まれるような感じ。穏やかな楽曲に使用されているイメージですね。
使用されている楽曲
ベートーヴェン 交響曲第6番 <田園> 第1楽章
・Hey Jude / The Beatles
・足音~BE STRONG~ / Mr.Children
・涙そうそう / 夏川りみ
Gメジャー(ト長調)
雄大な感じ。活発で元気のある印象です。この調はCメジャーの「属調」ということでCメジャーと似通った部分があります。ただ、Cメジャーよりは力強く感じます。
使用されている楽曲
モーツァルト セレナーデ第13番 <アイネ・クライネ~> 第1楽章
バッハ 無伴奏チェロ組曲 第1番 第1楽章
・負けないで / ZARD
・愛をこめて花束を / Superfly
・衝動 / B’z
Aメジャー(イ長調)
熱い信念みたいなものを感じる調ですね。きらびやかでキラキラしたような印象。
使用されている楽曲
・ベートーヴェン 交響曲第7番 第1楽章
・世界に一つだけの花 / SMAP
・ロビンソン / スピッツ
・恋 / 星野源
Bメジャー(ロ長調)
#が5つということで、鋭く冷たい印象を受けるのではないでしょうか。ポケモンでいうと冷凍ビーム。クラシックはあまり見かけないですが、ポップスでは人気の調ですね。
使用されている楽曲
・ショパン ノクターン第3番 ロ長調
・Lemon / 米津玄師
・Love so Sweet / 嵐
・前前前世 / RADWIMPS
いろいろな調(キー)を使いこなせるように
楽器をやっている方は演奏の観点から弾きやすいキーが存在するので、ついつい同じようなキーを使用してしまうことがあると思います。
例えば、ギターはシャープ系の楽器なので、G、A、Eメジャーなどが弾きやすいです。一方、ピアノは調号の少ないC、F、B♭メジャーなどが弾きやすいキーであるといえます。DTMで作曲する人は、作曲ソフトで移調が容易にできるので、ひとまずCメジャーで作ってしまうという方も多いのではないでしょうか。
様々なキーを使いこなすということは楽器の演奏上達にもメリットとなります。普段はあまり利用しない指運びやフレーズを練習できるからですね。そうするとまた違ったフレーズが生まれてくるものです。ぜひ、いろんな調を練習してみてください!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、少し抽象的な話になってしまいましたが、いろいろなキーに触れるということは音楽性を向上させるうえで重要なことだと思います。普段あまり意識しなかった方は、こういったことも意識してみると面白いかと思います。
参考になれば幸いです。
では!