作曲においてかなり重要な武器となりえる「転調」の定番パターンについて解説します。アニソン、ボカロ、J-popでは本当にいろいろな転調が使用されています。
転調は、聴き手にインパクトを与えるため、作曲家たちの ”腕のみせどころ” でもあります。実際に使用されている楽曲についても紹介したいと思います。
では、いきましょう!
転調とは?
転調(英語:Modulation)とは何かということについて解説しておきます。これを1言でいうと「曲のキー(英語:Key)が変化する」ことです。これによって楽曲で使用されている音階が変わるので、転調前とはまったく異なる楽曲の雰囲気を演出することができるのです。
音楽理論的に重要なことがもう1つあって、それは「調号(英語:Key Signature)が変化する」ことです。#や♭の数のことですね。音階が変わるということは、聴き手に新しい音の成分を与えるということですから、「目新しさ」や「刺激的」な印象を楽曲に与えてくれるのは当然です。さらに、楽曲へのインパクトは「調号の変化が大きければ大きいほど高い」です。
したがって、転調には聴き手に「大きなインパクトを与える」ものから「バレずにひっそりと行われる」ものまで多種多用です。今回は、アニソン、ボカロ、J-popで定番とされている転調パターンについて順番に解説していきます。
半音上(短2度)の転調
「半音上の転調」は、アニソン、ボカロ、J-pop屈指の定番パターンで特に楽曲のラストサビで使用されることが多いです。またこれは、調号の変化が大きくインパクトのある印象があります。高揚感があってラストの盛り上がりにはもってこいです。Cメジャー⇒D♭メジャーです。
転調のやり方
Ⅴコードをきっかけにする
それほど気にしなくても使用できる半音上の転調ですが、Ⅴコードを使用するとスムーズです。転調前のⅤコードから転調後のⅤコードに進行します。
セカンダリードミナントをきっかけにする
先ほど紹介した手法とよく似ていますね。やはりドミナントセブンス(○7)は転調のきっかけとして使用しやすいです。
使用されている楽曲
○HANABI / Mr.Children(ラストサビ)
○白日 / King Gnu (ラストサビ)
〇Teenager Forever / King Gnu(ラストサビ)
〇Love So Sweet / 嵐 (サビ)
〇アゲハ蝶 / ポルノグラフティ(ラストサビ)
など…
同主調(短3度)の転調
「同主調の転調」はルート音が共通しているので、かなり使い勝手の良い転調になります。楽曲の印象をガラリと変化できるのでこれもインパクトのある転調です。特にマイナー⇒メジャーという流れがよく使用されます。つまり、Cメジャー(Aマイナー)⇒ Aメジャーの転調となります。
転調のやり方
① セカンダリードミナント(Ⅲ7)をきっかけにする
定番のセカンダリードミナントを使用したパターン。Ⅲ7を駆使します。これが圧倒的に多いです。同主調は相性がよい転調なのでこれだけで自然にもっていけます。
使用されている楽曲
○Lemon / 米津玄師(サビ→Cメロ)
○LOSER / 米津玄師(Bメロ→サビ)
〇パプリカ / Foorin (Bメロ→サビ)
○イエスタデイ / Official髭男dism(Bメロ→サビ)
〇サイレントマジョリティ/ 欅坂46(Bメロ→サビ)
〇きらり / 藤井風(Bメロ→サビ)
など…
全音上(2度)の転調
「全音上の転調」は、意外となめらかな転調です。どこか「明るくキラびやかな」印象がする転調ですよね。半音上の転調に比べると、調号がそれほど変化しないのでインパクトは抑えめといった感じです。Cメジャー⇒Dメジャーの転調になります。
転調のやり方
① セカンダリードミナントをきっかけにする
これももはや定番のセカンダリードミナントを使用したパターンです。どやはりドミナントセブンスの不安定感は、調性のバランスを崩すのに使い勝手が良いです。
② Ⅳ→Ⅴ進行をきっかけにする
転調前のⅤというのは転調後のⅣになります。これらのコードは2つキーのダイアトニックコード上で共通している「ピボットコード(英語:Pivot Chord)」といわれるものです。したがって、Ⅳ→Ⅴという具合につないでしまえば、自然な転調が可能となります。
使用されている楽曲
○創世のアクエリオン / AKINO(Bメロ→サビ)
○God knows… / 涼宮ハルヒ(ラストサビ)
〇月光 / 鬼束ちひろ (ラストサビ)
〇プラチナ / 坂本真綾 (Bメロ→サビ)
〇砂の惑星 / ハチ (Bメロ→サビ)
〇白金ディスコ / 阿良々木月火(Bメロ→サビ)
など…
まとめ
いかがでしたでしょうか。
アニソン、ボカロ、J-popで良く使用される転用パターンについてまとめてみました。いずれの曲も聴いてみると「パァ~」と華やかな印象になりますよね。楽曲に彩りを与える効果がありますので、ぜひ、作曲などに役立ててみてください。
参考になれば幸いです。
では!