ピアニストとギタリストに愛されるペンタトニックスケールについて解説します。これらの楽器に限らず、サックスなどの管楽器でも使用されるのですが、今回はピアノとギターに焦点を当てて紹介しておきたいと思います。
「スケールなんて色々あってめんどくさいけど、アドリブもしてみたいな….。」という方は必見です!初心者から上級者までず~っとお世話になるようなスケールです。
では、いきましょう!
ペンタトニックスケールとは?
ペンタトニックスケールとは何なのでしょうか?
ペンタトニックスケールは5音のみで形成されているスケールなので、五音音階(Pentatonic Scale/ペンタトニック・スケール)と呼ばれます。明るい響きである「メジャーペンタトニック」と暗い響きである「マイナーペンタトニック」の2種類が存在します。
メジャーペンタトニックスケール(Major Pentatonic Scale)
メジャーペンタトニックスケールのを楽譜と響きを確認してみましょう。
どこか哀愁漂う和風なテイストがするスケールですよね。メジャースケールの「ファ(4度)」と「シ(7度)」を省いた音階であることから「ヨナ抜き音階」とも呼ばれます。
スケールの4度と7度は特殊な音で、スケール上の音と半音隣でぶつかるので、アボイドノートの関係になりやすく注意が必要な音です。
「ならば、これを省いてしまえばいいじゃない。」というのがこのペンタトニックスケールです。細かいことを気にせず使用できるのでメロディやアドリブにもってこいというわけですね。
マイナーペンタトニックスケール(Minor Pentatonic Scale)
次はマイナーペンタトニックです。これも暗いながらもどこか和風なテイストがするスケールです。
これはメジャーペンタトニックと平行調の関係を形成しているため使用する音は同じです。つまり、CメジャーペンタトニックとAマイナーペンタトニックは全く同じ音であるということになります。
これを知っておくと覚えるのは楽ちんですね。メジャーとマイナーでそれぞれ12個のペンタトニックスケールが存在することになります。ギターではマイナーペンタトニックを使用することが圧倒的に多いです。
ペンタトニックスケールの覚え方
たった5音だけで形成されるスケールですがそれぞれの位置関係を確認しておきましょう。ギターの場合はフレットボードの形で覚えた方がわかりやすいかもしれません。
ピアノ鍵盤
ピアノ鍵盤はこのようになります。覚えるコツとしては「半音隣の音を弾くことない」ということです。これを強く意識しながら弾けるように練習しましょう。
ギター指板
ギターのペンタトニックスケールで代表的なのは5フレット、8フレットから始まる” 四角っぽい形状 ”をしたポジションです。まずはこれを覚えましょう。ギターは楽器の特性上、この形状をずらせばすべてのキーで弾くことができるのでこのような「ボックス・ポジション」と呼ばれる覚え方をすると楽です。
また、平行調の考え方を採用することで、2つのペンタトニックスケールを一気に覚えることができます。
ペンタトニックスケールの使い方
ペンタトニックスケールはアドリブにかなり有用なスケールです。いくつか使い方のコツを紹介しておきます。また、+αで1音つけ足すだけでジャズのアドリブにもピッタリなおしゃれなスケールに応用できます。
使い方① スケールの順番に弾かない
ペンタトニックスケールは5音しかないので、ただ順番に弾くだけだと単調になりがちです。良くも悪くも フレーズに”ペンタトニック臭さ” が出てしまいます。なのでできるだけ順番に弾くことは避けましょう。
使い方② リズムを意識する
これも重要です。ペンタトニックはやはり5音しかないため旋律的な工夫には限界があります。音楽では半音隣の音に向かう旋律が情緒を生むことが多いのですが、ペンタトニックはそれをあえて捨てたスケールなので「諸刃の剣」なのです。なので積極的にリズムの力を駆使しましょう。
使い方③ ♭3rdの音(ブルーノート)をつけ足す
これはかなり実用的です。メジャーペンタトニックに♭3rd(マイナーの場合は♭5th)を足すことによって一気におしゃれなスケールへと進化します。
もともとはピッチの上がりきらない音を使用したのが由来です。ジャズ理論ではメジャーとマイナースケールを組み合わせた音として説明されます。少しブルージーな音使いがアクセントとして光るんですね。装飾音的に使用すると雰囲気がつかみやすいかもしれません。
ポップスで使用されている例も頻繁に見かけます。「aiko」はこのブルーノートを積極的に使用するアーティストです。参考にしてみてはいかかでしょうか。
ペンタトニックスケールを使用した曲
ペンタトニックスケールは日本人好みのスケールということもあり、使用されている曲には名曲が多いです。ポップスからロックまで汎用性の高いスケールと言えます。
新宝島 / サカナクション
イントロのリフですね。リズムの使い方もあいまって印象深いフレーズになっています。サカナクションはどこか和風なテイストを感じるアーティストです。これもペンタトニックを多用して作曲されていることが1つの理由です。
Pretender / Official髭男dism
華麗なギターアルペジオから始まるこの曲。キー:A♭メジャーのペンタトニックスケールが使用されています。初っ端からおしゃれな雰囲気なので一見、ペンタトニックとは思えない感じがうまいですよね。
夏祭り / Whiteberry
日本を代表する夏の曲ですね。メロディに積極的にペンタトニックが使用されています。これも日本の雰囲気を強く感じさせる曲です。
カントリーロード / John Denver
元々は日本の曲ではありませんが、どこか懐かしい雰囲気のする楽曲ですね。やはり日本人にはペンタトニックの雰囲気が心地よいもいうことが染み付いているのです。
Let it be / The Beatles
洋楽でもよく使用されています。ギターソロの部分はぺンタトニックスケールですね。まさに泣きのフレーズといった感じです。他にも「レッド・ツェッペリン」、「イーグルス」などもペンタトニックを多用することで有名です。
まとめ
いかかでしたでしょうか。
今回はペンタトニックスケールについて紹介しました。かなり汎用の高いスケールなので、ぜひ積極的に使用してみてはいかかでしょうか。
・メジャーとマイナーペンタトニックは平行調の関係であり、同じ音で構成されている。
・「リズム」や「ブルーノート」を駆使することによってペンタトニックの魅力を存分に引き出せる。
・日本人好みのキャッチーなメロディを作るのに向いているスケールである。
参考になれば幸いです!
では!
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