クラシック音楽はなかなか難しい。それは規則や禁即が多すぎるからです。まさに過去の偉人達が緻密につくりあげてきた世界ですね。
それゆえ、クラシック理論はしっかり学ばないと、いわゆる“クラシックらしさ”というものは出ません。ポピュラー音楽理論とは一線を画す知識が必要なのです。
もちろんポピュラー音楽に応用できる事柄は山程ある。むしろ知っておくと武器になると思います。「本気で音楽をやっていく!」そんな方に向けて、おすすめの音楽理論の本を紹介したいと思います。
和声 理論と実習
基本概要
この本は日本で一番有名なクラシック音楽理論の本でしょう。東京芸術大学の教科書にも使用されているキング・オブ・スタンダード。全部で3巻構成ですので、きっちり勉強したいのであれば3巻みっちり読みましょう。
著書の「島岡譲」という人物は、ジブリ作曲家で有名な「久石譲」を門下生として輩出している偉大な人物でもあります。「島岡和声」と呼ばれるほどですからね。これを読めばとりあえずクラシックの和声学はマスターできるでしょう。
主な勉強内容
・音楽理論の予備知識
・3和音(トライアド)
・基本型と転回型
・和音のカデンツ
・和声の配置と連結
・ドミナント和音について
など…
和声のしくみ・楽曲のしくみ
基本概要
上記で紹介した「和声-理論と実習」をギュッとまとめたような音楽理論の本です。著者は「島岡譲」です。比較的に短いボリュームで基本的な音楽理論が体系的にザッと学べる。
サブタイトル「4声体・キーボード・楽式・作曲を総合的に学ぶために~」と書かれてある通り、作曲者の観点からも文章が書かれている点が良いところ。クラシック和声を勉強して作曲などに活かしたいという方には非常にいい教材です。特に「旋律と伴奏」の項目なんかは演奏者・作曲家にとってかなりためになる内容なのではないでしょうか。
主な勉強内容
・音階・和音
・調性(24キー)について
・4和音
・旋律と伴奏
・楽曲の構成
・転調
・借用和音
・代表の楽曲分析(バッハ、ベートーベン、モーツァルト)
など…
対話式!「なぜ?」が分かるとおもしろい和声学
基本概要
こちらはそれほど”お堅い感じ”ではないクラシック音楽理論の本。初心者の導入にぴったりです。
音楽理論というのは語られない前提知識が含まれていることが多いので初心者にはとっつきにくいことがあります(1から説明すると難しい&書面が足りなくなるなどの事情があるので…)。そういった部分にもしっかりと初心者目線で説明されています。「音楽理論とか全然知らないけどこれから勉強してみようかな…」という方にはかなりおすすめの本。
もちろん、音楽理論の根本的な部分を解消してくれる本なので「音楽理論はある程度知っている!」という方にも非常に勉強になる本です。
主な勉強内容
・和声学の基本
・禁則の基本
・各声部(ソプラノ・アルト・テノール・バス)の役割
・機能和声の原理
・和音連結の基本
・転回形の和音連結
・属七(ドミナント)和音について
・反復進行の基本
など…
新しい和声 – 理論と聴感覚の統合-
基本概要
東京芸術大学の新しい教科書として作られた音楽理論の本です。他の本と比べるとボリュームが少なめ(それでも400ページ…)なのも良い点。ただこの本、ある程度「音楽理論の知識」がないと読みづらい…。その他にも界隈ではいろいろ賛否両論がある本です。
個人的にはサブタイトル「理論と聴感覚」と題している通り、音楽理論の数理的な面だけでなく、「演奏者が耳で聴いてどうか」という点も盛り込まれている部分が他の本にはなかなか見られない内容です。演奏者にとってはためになる部分も多いと思います。
主な勉強内容
・3和音(トライアド)
・転調
・転回型
・4和音、5和音
・和声外音
・各種の和声課題
など…
クラシックのからくり 〜「かたち」で読み解く楽曲のしくみ〜
基本概要
これは少し変わったアプローチの音楽理論の本。クラシック楽曲分析を主体としている本です。
この著書の利点は実際の曲を通じて学べるところ。多少の音楽理論の知識は必要ですが、初心者でもわりと楽しく読み進められると思います。ただ、どちらかというと「クラシック様式」に焦点が当てられているので、内容が音楽理論とは少し異なる点には注意してください。
「クラシックなんて全くわからない!」という初心者の方はこれを導入として本格的な和声音楽理論「島岡和声など…」を学ぶという選択肢もアリだと思います。
主な勉強内容
・音楽の3要素
・クラシック音楽の形式
・クラシック楽譜の全体像
・クラシック楽器と編成
・代表曲の紹介
など…
Music Theory Essentials(英語)
基本概要
これは洋書なので参考程度に。英語に抵抗がない人はこの音楽理論書がオススメです。クラシック音楽理論だけでなく、ジャズやポピュラー音楽に多用される音楽理論についても書かれており、これ1冊でかなり幅広い事柄が勉強できます。 ぜひ、日本語翻訳で出版してほしいところ。
主な勉強内容
・音楽理論の基礎知識
・音階、和音
・調性(キー)
・ダイアトニックコード
・3和音
・セブンスコード、セカンダリードミナント
・フレーズ、カデンツ
・モーダル
・テンション、オルタード
・ジャズ音楽
・ポピュラー音楽
など…
まとめ
いかがでしたでしょうか。
なかなか奥が深いクラシック音楽理論。一朝一夕では習得が難しいですが、必ず音楽家としてレベルアップするはずです。特に「クラシックの和音連結」なんてのは作曲・アレンジに非常に役立つ部分ですからね。
参考になれば幸いです。
では!