今回は、King Gnuの「BOY」について解説していきたいと思います。アニメ「王様ランキング」OPテーマ曲にもなっています。
冒頭(サビ) コード進行
最近の楽曲ではめずらしくKey:Cとなっています。
冒頭のコード進行はいろんなアイデアが詰まっているので3つの観点からみていきます。
- 冒頭のBdim7はセンスの塊
- ジャズのアプローチたくさん
- 本質的には『カノン進行』
① 冒頭のBdim7はセンスの塊
最初のBdim7というコードですが、かなりセンスを感じます。
これ、本来であればCダイアトニックコードのBm7(♭5)になりますよね。それがこの楽曲では、Bdim7となっているのです。少しドミナント成分が混じったお洒落な雰囲気です。
このコードは同主調であるKey:CmのCハーモニックマイナーのダイアトニックコードの一部で、そのコードを借用していることになります。
② ジャズのアプローチたくさん
2つ目は、ジャズに代表的なアプローチが使用されている点です。それが「ツーファイブ進行」と「裏コード」というものです。 ジャズサウンドを聴きなれている人なら一発でわかったのではないでしょうか。
例えば、Em7→A7→Dm7は、Dm7を主和音(Ⅰm)としたときのⅡ→Ⅴ→Ⅰになりますよね。
楽曲のKeyに関わらず、このような5度進行をバンバンいれていくのがジャズの特徴です。五度圏を左回りで『Cycle Progression』と呼ばれることもあります。
2つ目は『裏コード』というものです。ざっくり言うと「解決先コードの半音上のドミナント」が使用できるというものです。例えば、A♭7→G7という部分がそれにあたります。
本来のドミナントであるD7とコード構成音のうちの2音(トライトーン、全三音)が類似しているため、代理コードとして使用できるんですよね。
G♭→Fmaj7というフレーズもそうです。(3和音なのでドミナントではありませんが、同じアプローチだと考えられます。)この辺のジャズアプローチはこの後の展開でも数多く登場します。
③ 本質的にはカノン進行
これまでのアプローチを省いてしまうと、このコード進行は『カノン進行』になります。カノン進行っぽく弾いてみるとこんな感じ。
これにこれまでに紹介したアプローチを織りまぜるとこのようなコード進行になります。
したがって、カノン進行をうまく改造していくと、このようなコード進行を作り上げることができます。ぜひ、リハーモナイゼーションの手法として参考にしてみてください。
Aメロのコード進行
Aメロは、調性がかなり曖昧になっています。(基本はKey:Amなのかなーと思います)
経過音的に使用されているコードが多いですね。例えば、Em7→E♭m7→Dm7というコード進行。これは「平行和音(Parallel Harmony)」といわれるような手法で、同じ種類のコードをそのまま平行移動することを言います。
イメージとしては「クリシェ」や「パッシングディミニッシュ」に近いですかね。半音隣のコードを挟み込むときに使用されることが多いです。
Bメロのコード進行
Bメロです。非常に複雑なサウンドをしていますが、コードとしてはけっこう簡単になってしまいます。
むしろ、リズムセクション的な仕掛けがかなり面白いのではないでしょうか。例えば、唐突に3拍子になるところなんか印象的ですよね。
サビ
サビについては冒頭と同様となっています。やはり、Bメロと打って変わって非常にキャッチーに聴こえますね。(カノン進行恐るべし…。)
転調について
最後は、Key:D♭(♭5)への転調。ポップスでは定番のラストサビの「半音上(+1)」の転調となっています。
これは「白日」や「Teenager Forever」でも使用されている転調手法ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
冒頭のコード進行からいろいろなアイデアが詰まった楽曲となっていました。
ロックな曲調の中にもジャジーなアプローチが盛り込まれていたりとかなり多彩なサウンドを感じられる楽曲なのではないかと思います。
参考になれば幸いです。
では!
音源、ストリーミング、CD
〇Amazon Music Unlimitedで聴き放題です。
⇒ Amazon Music Unlimited アマゾン公式(無料体験)