Official髭男dismの「Universe」の楽曲分析になります。映画『ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』の主題歌になっていますね。
劇場版の主題歌ということもあり、キャッチーで印象に残る楽曲に仕上がっていると思います。
では、いきましょう!
楽曲のコード進行
イントロのコード進行
ビアノが印象的なイントロです。テンションコードが多用されていておしゃれな雰囲気ですね。この楽曲の肝はこの部分なので、すこし詳しく説明していきたいと思います。
※わかりやすくするため、コードに関係ない音や装飾的な音は楽譜から省いています。
イントロのコード進行(前半部分)
この楽曲のキーはD♭メジャー(♭5つ)です。コード進行はこんな感じになります(人によってコード解釈は異なると思いますので、参考にしてください。)
なかなか複雑な響きをしていますね。ここでこの響きの要因である「テンション」について説明しておきたいと思います。
テンションというのは「基本的なコード構成音に付け足すある特定の音」のことです。代表的なテンションとして、9th、11th、13thなどがあり、それぞれ響き、性格、印象に特徴があります。
- テンションとは?
テンション:基本的なコード構成音にある特定の音を付け足したもの。
例1)C▵7コード+ D音=C▵7(9)
例2)G7コード+E♭音=G7(♭13)
この楽曲の冒頭では『F7+♭9th』のテンションコードが使用されていますね。通常のF7コードにG♭音を足すことによって少しブルージーな感じがするのではないでしょうか。これがテンションというものです。
コードとしては、なかなか上級テクニックで、この楽曲ではこのテンションコードが頻繁に使用されています。イントロでは他にも以下のようなコードが使用されています。
イントロのコード進行(後半部分)
この部分は順番に下行していくようなコード進行。セカンダリードミナントであるF7がポイントですね。
Aメロのコード進行
イントロと似たコード進行になっています。どこかJust the Two Of Us進行の響きに似ているかもしれませんね。(おしゃれコード進行の定番:Just The Two Of Us進行)
Just The Two Of Us進行はⅢ7→Ⅵm7という流れが特徴的なコード進行で、これは最近の楽曲では頻用されているパターン。『夜に駆ける/YOASOBI』『春に告げる/yama』などもこの響きが肝となっています。
Bメロのコード進行
Bメロのコード進行です。前半部分はAメロと似たような響きになっています。ここもJust the Two Of Us進行のようなコード進行になっていますね。
後半部分はクリシェのようなコード進行で半音ずつ下行していくコード進行。ただ、B♭m7→Am7→A♭m7という具合に○m7コードが続いているのがポイント。
ジャズではよく使用されるパターンなのですが、音楽理論的に解釈しようとすると少し難しいです。演奏の観点から”指を平行移動するだけ”で弾けるので広く使用されているパターンなのだと思います。
サビのコード進行
サビはBメロで紹介したコード進行とほぼ同じですね。コード進行はこちら。
最後は少し変わったコード進行になっています。いきなりG♭m7になる部分ですね。
これはサブドミナントマイナー(Ⅳm)と呼ばれるもので、同主調の借用和音の一種です。D♭マイナーダイアトニックコードの4番目のコードになっており、Ⅳmは特によく使用されるコードになります。
楽曲の転調
この楽曲で使用されているのは、ラストサビの半音上の転調(+1)です。キー:D♭メジャーからキー:Dメジャーになっています。では、これについて見ていきましょう。
ラストサビの転調:半音上(+1)
「きみは〜」というロングトーンからそのまま半音上へと転調しています。
ごくごく自然な転調ですね。ラストサビの半音上の転調はJ-popではお決まりのパターンで、楽曲の盛り上がりをラストサビで最高潮に持っていく効果があります。聴衆にも馴染みがあり、カッコいい転調なので、使い勝手がいいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
全体的にかなり複雑なコード進行となっているので、演奏するのは難しいかもしれませんね。作曲担当の藤田さんが、ジャズの知識も背景にあると思われるので、その辺が作曲に現れているのだと思います。ぜひ、マスターしてみてください!
参考になれば幸いです。
では!
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