コード進行・楽曲分析

ハルカ / YOASOBIのコード進行分析・音楽理論の解説!【楽曲分析】

YOASOBIの「ハルカ」です。初の紅白歌合戦出場を果たしたYOASOBIの新曲です。今までとはテイストが異なってすこしポップな感じの雰囲気ですかね。

では、いきましょう!

使用されているコード進行

イントロのコード進行

イントロ部分です。フレーズが特徴的なのでみていきましょう。コード進行は「Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-Ⅰ」となっています。


楽曲冒頭からキャッチ―で印象的なフレーズですね。これはペンタトニックスケールで構成されているフレーズ

楽曲のキー:DメジャーなのでDメジャーペンタトニックスケールが使用されています。これは「ヨナ抜き音階」とも呼ばれるスケールで、Dメジャースケールの「4th」と「7th」の音をはぶいたスケールです。邦楽では昔から愛されているスケールで日本人には心地よいスケールだそうですね。


そのあとはすぐに同じフレーズが繰り返されたまま、キー:Cメジャーへと転調します。この辺は素直にカッコイイところ。詳しくは後述します。

Aメロのコード進行

Aメロのコード進行はこちら。「Ⅵm-Ⅲm-Ⅳ-(Ⅰ-Ⅴ)」ということでダイアトニックコードが使用されているコード進行です。特にむずかしくはありません。

Bメロのコード進行

① Ⅳ-Ⅴ-Ⅲm-Ⅵ7:F-G-Em-A7

ここは「Ⅳ-Ⅴ-Ⅲm-Ⅵ7」の4536進行ということで王道進行に似たコード進行になっています。違うのは最後のA7コード(Ⅵ7)の部分。セカンダリードミナントですね。

② Ⅱm-Ⅴ-Ⅰ-(♭Ⅶ-Ⅰ):Dm-G-C-(B♭-C)

ここもそれほど難しくありません。ただ、少し見慣れないのが、最後のB♭コード(♭Ⅶ)ですね。

これは『同主調の借用和音』というものです。「キー:CメジャーでもCマイナーダイアトニックコードであるB♭コードが使用できるよー。」というもので、ポップスでは頻用されるので覚えておくといいと思います。


③ Ⅳ-Ⅴ-#Ⅴdim-(Ⅵ7-#Ⅰdim):F-G-G#dim-(A7-C#dim)


Bメロは盛りだくさんですね。ここではdimコードが使用されています。G#dimは前後のコードを半音同士で繋ぐことのできるパッシングディミニッシュと呼ばれるもの。


このコードはかなり使い勝手が良く、適当にコードの間に挿入するだけでもそれっぽくなります。アレンジなどにも効果的なので参考にしてみてください。


最後のC#dimコードはなくてもいいです。原曲を聴いてみると「コードが動いているかな..。」というような気がしたのでいちよう表記しました。

なぜなくていいのかというと、それは前のコードであるA7コードと非常に類似したコードだからです。したがって、A7コードはC#dimコードの響きを持っているとも言えるんですよね。

C#dimコード構成音:C#・E・G
A7コード構成音:A・C#・E・G


サビのコード進行

① Ⅰ-Ⅲ7-Ⅵm-(Ⅴm-Ⅰ):D♭-F7-B♭m-(A♭m-D♭)

サビで転調しているのでキーがD♭メジャーへと変化しています(転調については後で解説)。では、コード進行はこちら。


「Ⅰ-Ⅲ7-Ⅵm-(Ⅴm-Ⅰ)」という進行。若干、Just the two Of Us進行を感じさせるようなコード進行になっています。ちなみにJust the two Of Us進行このような進行でしたね。詳しくはこちらの記事(おしゃれコード進行の定番!『Just The Two Of Us進行』について紹介!)も参考にしてみてください。


やはり、このコード進行は「Ⅲ7→Ⅵm」という流れが特徴的ですね。他の楽曲分析でも書いていますが、この「Just The Two Of Us進行」の響きはAyaseさんの楽曲では頻繁に使用されており、特徴的なサウンドの1つになっています。代表曲の「夜に駆ける」「ハルジオン」「再会-Uru×LiSA」でも使用されていますので、参考にしてみてください。



使用されている転調

この楽曲で転調が使用されている部分は①イントロ②サビ③ラストサビの3か所です。

  1. イントロ:Dメジャー(#2つ)⇒ Cメジャー(なし)
  2. サビ:Cメジャー(なし)⇒ D♭メジャー(♭5つ)
  3. ラストサビ:D♭メジャー(♭5つ)⇒ Dメジャー(#2つ)


サビで半音上(+1)、ラストサビでも半音上(+1)の転調ということでラストに向けてどんどんキーが上がっていく感じになります。では、順番に見ていきましょう。

イントロの転調:全音下(-2)

イントロ部分ですね。フレーズを1回繰り返した後、すぐに「全音下(-2)」へと転調します。そしてまた同じフレーズが展開されるという流れですね。

サビの転調:半音上(+1)

この楽曲ではサビで「半音上(+1)」の転調が使用されています。しかもそれがAメロで戻ることなくそのままキー:D♭メジャーで楽曲が展開します。珍しいですね。


半音上の転調はラストサビでは使用されるのですが、大胆にもサビで使用されています。このパターンの有名曲としては「Love so sweet / 嵐」「Slumberland / King Gnu」などがあがられますね。

ラストサビの転調:半音上(+1)

ラストサビでも「半音上(+1)」の転調が使用されています。これはもうお決まりパターンで、楽曲の盛り上がりをラストサビで最高潮にもっていくことができます。妙なコードワークは不要です。サウンド変化も利用して大胆に転調しましょう。

まとめ


いかがでしたでしょうか。


この楽曲もAyaseさんらしい楽曲でしたね。紅白歌合戦出場ということもあり、2020年の音楽シーンを一番沸かせたアーティストだったのではないでしょうか。2021年もどんな楽曲がリリースされるか楽しみですね。


参考になれば幸いです。


では!

音源、CD、ストリーミング



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だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!