コード進行・楽曲分析

ポルノグラフィティの独特の雰囲気の理由を探ってみる〜和声的な観点からの考察〜

今回は、ポルノグラフィティが醸し出す世界観について少し研究してみます。かなり独特の雰囲気を感じるアーティストですね。今回は、これらの楽曲について和声的な観点に着目してみて いきたいと思います。

では、早速いきましょう。

ポルノグラフィティらしさとは?

ポルノグラフィティの楽曲聴いてもらうとわかるのですが、どこか民族的というか、ラテン系のサウンドが強烈に感じられますよね。例えば、以下のようなものがそうです。

  • ポルノグラフィティ代表曲

    サウタージ

    アゲハ蝶

    ジョバイロ

    瞳の奥をのぞかせて

    Love too,Death too



    などなど…。


    これらの楽曲の情熱的な感じが実にカッコいいですね。ポップスシーンでも独特の世界観を放っており、この雰囲気が、ポルノグラフィティの魅力の1つなのではないかと思います。

    マイナースケールが効果的に使用されている

    ポルノグラフィティの楽曲はマイナー調の楽曲が多いのですが、この”ポルノらしさ”の要因の1つに、マイナースケールが効果的に使用されていることが挙げられます。(※もちろん、音色、楽器、リズム的な要素も重要であることはいうまでもありません。)


    例えば、マイナースケールというと、メジャースケールの第3、6、7音を半音下げたスケールが一般的なのですが、その他にも、世界には様々なマイナースケールがあります。



    例えば、ハーモニックマイナー、メロディックマイナーのほか、通称”エスニック”と呼ばれる民族的なスケールまで様々です。 今回はこれらを中心に着目して、ポルノグラフィティの楽曲をみていきたいと思います。

    ポルノグラフィティの楽曲に使用されるマイナースケール

    サウダージ

    まずは、サウダージという楽曲。これはどこか民族的なサウンドで、”ポルノグラフティらしさ”を象徴する楽曲の1つなのではないかと思います。

    この楽曲の冒頭部分(サビ)を聴いてみると、メロディに臨時記号(#)がついており変わったサウンドがしていますね。


    これは、 Key:Em(#1) のナチュラルマイナーの第6音と第7音を半音上げたスケールで、『メロディックマイナースケール(Melodic minor scale)』が使用されています。


    コードもB7→Emとなっており、メロディックマイナーダイアトニックコードに則したものになっています。(※ちなみにF#7は、B7のドッペルドミナント。C#m7(♭5)は、F#7に付随するⅡ-Ⅴと考えられます)


    さらに続く間奏部分。この辺もかなり強烈な”民族らしさ”が感じれますね。この部分も普通のマイナースケールとは異なるスケールが使用されており、『ドリアンスケール(Dorian scale)』と呼ばれるものになります。ナチュラルマイナーの第6音を半音上げたスケールですね。


    さらにこのスケールは、Keyに対して2度の音を強調することで、もっとドリアンらしさを出すことができる性質にあります。(6度はもちろんそうです)


    このフレーズもKey:Emに対して2度であるF#音がロングトーンで強調されているので、しっかりとその性質が反映されたフレーズになっています。このサウタージという楽曲だけを見ても様々なマイナーサウンドが感じられますね。これらの雰囲気の違いを巧みにコントロールしている点が非常に素晴らしいです。

    ジョバイロ

    続いて、ジョバイロという楽曲。これも強烈な”ポルノグラフティらしさ”が感じられます。楽曲冒頭のサビもやはり臨時記号(#)がついていますね。


    Keyに対して、#4(G#)、M7(C#)の音使いで有名なのが、『ハンガリアンマイナースケール(Humgarian minor scale)』と呼ばれるスケールになります。


    スケールをなぞるだけでも非常に特徴のあるサウンドをしていますよね。こういったサウンドをポップスシーンにごく自然に取り入れているのがすごいと思います。


    これは間奏のフレーズでも使用されており、まさしくジョバイロという楽曲を特徴づけるサウンドになっています。

    アゲハ蝶

    アゲハ蝶で使用されているのは、主にナチュラルマイナースケールです。強いて言うのであれば、コードにE7が使用されているので、『ハーモニックマイナースケール(Harmonic minor scale)』になりますね。


    ただ、この楽曲の”ラテン感”に関しては、リズムセクションや音色がかなり重要な要素の1つだと考えられます。例えば、イントロで手拍子されているリズム。これは、『クラーベ』と呼ばれるリズムでラテンの典型リズムパターンになっています。


    さらに、音色に関しても、南アメリカ・アンデス地方の『サンポーニャ』という民族楽器(間奏部分でソロをとっているリコーダーみたいな音色のやつです)が使用されているようです。

    まとめ


    いかがでしたでしょうか。


    今回はポルノグラフィティというアーティストを通じて様々なマイナースケールについて見てきました。この辺を自然に歌もの楽曲に取り入れているのがすごいですよね。

    こういったサウンドに興味のある人は”モード”というキーワードで調べてみると何かヒントが得られると思います。


    参考になれば幸いです。


    では!


ABOUT ME
だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

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