今回は、J-POPを席巻するコード進行を5つ紹介したいと思います。
ここで紹介するのは定番中の定番進行。これらを覚えておくことで歌ものコード進行についてはとりあえずなんとかなります。
今回は、それらについて時代の流行りや使用楽曲も含めて紹介したいと思います
最強の5つのコード進行
最強のコード進行というのは「カノン進行」「小室進行」「王道進行」「ポップパンク進行」「Just The Two Of Us進行」の5つ。
- カノン進行
- 小室進行(6451)
- 王道進行
- ポップパンク進行
- Just The Two Of Us進行
J-POPは”サビ史上主義”という感じなので覚えてもらってなんぼです。
したがって、これらのコード進行はサビで使用されることが多く、コード進行だけでも強力なパワーを発揮するものが使用されやすいということになります。
流行りのコード進行はやっぱり存在する?
これらの定番コード進行ですが、やはり時代によって流行りというものがあると感じています。J-POPというと境界が曖昧ですが、アニソンやボカロなども含めると個人的にはこのようなイメージです。
小室進行というのは、その名の通り小室哲哉さんが活躍した時代(1994年~99年頃)です。これによってヒット曲が量産されました。まさに、時代を感じさせるコード進行です。
また、2000年代のヒット曲にはカノン進行が非常に多かったです。例えば2002年リリースの『世界に一つだけの花/SMAP』とか『明日への扉/I wish』(2003年)とかですね。
王道進行については、J-POPでも年代問わず幅広く使用されていますが、特にボカロ全盛期で多かった進行なのでこの辺の時期(2008年~2013年)のイメージ。
さらに、アニソン界では、「涼宮ハルヒの憂鬱」や「けいおん!」がこの時期ですね。
そして、最近のJust The Two Of Us進行時代に突入します。これはもう皆さんの記憶に新しいのではないでしょうか。
カノン進行
まずは『カノン進行』です。パッヘルベルのカノンで使用されていることが由来のコード進行で、非常に美しいコード進行です。
カノン進行の特徴
カノン進行は、2度進行と5度進行が繰り返されて構成されているコード進行。こうすることによってコード構成音の流れがスムーズになります。
また、これに至っては、ベースラインが順番に降りてくる下降パターンの方が広く知られており、実際の楽曲でも、このパターンがよく用いられています。
使用されている楽曲
『さくら(独唱)/森山直太朗』(2003年)や『明日への扉 /I wish』(2003)、『さくらんぼ/大塚愛』(2004年)など。『Greeen/キセキ』(2008年)なんかもそうですね。
『世界に一つだけの花 / SMAP』(2003年)も似た響きがありますよね。最近では『マリーゴールド/あいみょん』で使用されていて話題になっていました。この楽曲はどこか”既視感のあるJ-POP感”があるのではないでしょうか。
小室進行(6451進行)
小室進行(6451進行)は、音楽プロデューサーの小室哲哉さんが使いまくったことで有名です。
小室進行の特徴
定番コード進行の中では唯一、マイナーコードから始まる小室進行(6451進行)。切なくて哀愁がある感じです。
久石譲のSummerをイメージしてもらうとわかりやすい(?)。まさしく日本人が好みそうなあの感じです。
これに至っては、ⅣをⅡmにするパターンも存在しており、循環進行(1625)と同じ並びになります。
使用されている楽曲
これはもう『Get wild/TM NETWORK』(1987年)や『WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント』(1995年)など。ボカロでは『千本桜 / 黒うさP』(2013年)がこの進行が使用されていますね。アニソンでは『残酷な天使のテーゼ/高橋洋子』(1995年)が有名です。
王道進行
王道進行は、J-POPでは定番中の定番進行です。まさに、王道中の王道進行。(小悪魔コード進行とも呼ばれる)
特にサビで使用されることが多く、楽曲の「ここぞ!」というときに使用すると効果抜群です。
王道進行の特徴
王道進行は、4536というコード進行で、これもダイアトニックコード中心で使用されています。
サブドミナント→ドミナント(Ⅳ→Ⅴ)というメジャーコードの流れで、主和音(Ⅰ)に進行すると思いきや、Ⅲm→Ⅵm(Em→Am)のマイナーコードの流れにつながるというのが面白いところ。
高揚感を感じさせながらも、焦らされるという何ともいえない感覚を作りだすコードなんですね。そういう意味で聴き手を翻弄する力があるのかもしれません。
使用されている楽曲
『HANABI / Mr.Children』(2008年)や『ロビンソン / スピッツ』(1995年)など。2000年代のJ-POPを支えたといえます。
アニソンでは『God Knows / 涼宮ハルヒの憂鬱』(2009年)や『Don’t Say Lazy / 桜高軽音部』(2009年)。これらも一世を風靡した楽曲ですね。
ボカロ全盛期では『みくみくにしてあげる / ika』(2007年)や『ルカルカナイトフィーバー』(2009年)、『六兆年と一夜物語/kemu』(2012年)などがそれにあたります。どれも名曲ですね。
ポップパンク進行
ポップパンク進行は、世界で最も広く使用されている(?)と言われているコード進行です。J-POPでも年代問わず幅広く使用されているイメージです。
海外では「Pop Punk Progression」という名称で親しまれており、Wikipediaではこの進行を使用した曲のリストが数多くまとめられています。ポップパンク進行の使用楽曲(出典:Wikipedia)
ポップパンク進行の特徴
ポップパンク進行は3種類あるといわれています。それが、4156型、1564型、5641形というもの。始まる進行の順番を並び替えただけなので、本質的にはひとつです。
- 1564型
- 4156型
- 6415型
どれを使ってもOKで、ぐるぐる循環させることができます。始めるコードを工夫するだけで雰囲気が変わるので扱いやすい進行といえると思います。
使用されている楽曲
ポップパンク進行(1564型)
洋楽ですが、これはもう『Let it be / The Beatles』が圧倒的に有名です。このイメージが強いので、”Let it be進行”と呼ばれたりもしています。
さらには『チェリー / スピッツ』のイントロなどもそうですね。
ポップパンク進行(4156型)
大ヒット曲の『Lemon / 米津玄師』がそうですね。サビで使用されています。『君に晴れ / ヨルシカ』にも使用されています。キャッチーなメロディに非常によく合いますよね。
ポップパンク進行(6415型)
『前前前世 / RADWIMPS』はこのコード進行が使用されています。ボカロだと『DECO*27 / 弱虫モンブラン』で楽曲通してこのコード進行が使用されてます。
Just The Two Of Us進行
最後は、Just the two Of Us進行です。Grover Washingtonの『Just the two Of Us』という楽曲で使用されているためこう呼ばれています。
日本では「丸の内サディスティック / 椎名林檎」で使用されているため、”丸サ進行”の方が馴染み深いかもしれません。
ここ最近では専ら使用されているコード進行で、ヒット曲の定番となっています。
Just The Two Of Us進行の特徴
この進行は、セカンダリードミナント(Ⅲ7、Ⅰ7)が使用されているのがポイント。メジャースケールにはない音を使用しているので独特のエモさがあります。
これらによって、次のコードに向かう(Ⅲ7→Ⅵm、Ⅰ7→Ⅳ▵7)推進力が強調され、メジャーキーとマイナーキーが曖昧になっています。
これらが独特の浮遊感を生み出す理由です。おしゃれな雰囲気を手軽に演出できる一方、アップテンポの楽曲でも非常に相性の良いコード進行です。
使用されている楽曲
ポップスでは『夜に駆ける / YOASOBI』や『春を告げる / yama』『愛を伝えたいだとか / あいみょん』などが有名。
ボカロでは『キリトリセン /40mP』などが有名です。この辺の雰囲気が好きな人は多いのではないでしょうか。ほかにも多くの楽曲で使用されています。ぜひ、探してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
恐らく、流行りのコード進行というのは1周回って、同じものが流行りだす気がします。それは、今の若者には小室進行やカノン進行が新鮮な響きに感じられるからでしょうね。(私は20代ですが…)
ひとまず、今回紹介したコード進行を抑えておけば、基本はばっちりなのではないでしょうか。
次回はこれらがありきたりなコード進行にならないようにアレンジする方法についてお伝えしたいと思います。
参考になれば幸いです。
では!