キー(調)理論

近年の楽曲のキー(調)はどうなっている?〜ヒット曲は昨今の心情を反映するのか〜

今回は、楽曲のキー(調)についてみていきます。いろいろ調査してみましたので、その結果を報告したいと思います。

近年のヒット曲のキーってどうなってんの?

近年のヒット曲についてキー(Key:調)を調査していきます。2019年〜2021年の『BillBoard JAPAN Hot100』の上位30位を参照し、全ての楽曲のKeyを集計しました。

①長調’(メジャー)と短調(マイナー)の区別(平行調)はありません。

②転調する楽曲は、小節数が多いKeyをカウントします。(ただし、CryBaby / Official髭男dismのような転調を頻繁に繰り返すものは集計不可)

③Key:F#とKey:G♭は、同音異名のため、判別が困難なので、同一のものとしています。

各年代の代表曲を見ると懐かしい

2019年〜2021年辺りから「米津玄師」、「Official髭男dism」「YOASOBI」、「あいみょん」などを筆頭に多くのアーティストが登場し、楽曲としてもバラエティに富んだ印象になっています。

各年代における上位の楽曲を見てみると、下表のようになっており、どこか懐かしさも感じさせるラインナップとなっていますね。

順位(2021年)曲名アーティスト
1ドライフラワー優里
2DynamiteBTS
3夜に駆けるYOASOBI
4LiSA
5怪物YOASOBI
6ButterBTS
7うっせぇわAdo
8群青YOASOBI
9菅田将暉
10廻廻奇譚Eve
順位(2020年)曲名アーティスト
1夜に駆けるYOASOBI
2PretenderOfficial髭男dism
3紅蓮華LiSA
4I Love…Official髭男dism
5白日King Gnu
6香水瑛人
7宿命Officiak髭男dism
8マリーゴールドあいみょん
9LiSA
10裸の心あいみょん
順位(2019年)曲名アーティスト
1Lemon米津玄師
2マリーゴールドあいみょん
3PretenderOfficial髭男dism
4白日King Gnu
5馬と鹿米津玄師
6まちがいさがし菅田将暉
7パプリカFoorin
8今夜このままあいみょん
9U.S.A.DA PUMP
10宿命Official髭男dism

最近のキーの集計結果

2021年は、♭4(Key:A♭&Fm)が5曲と一番多く、Official髭男dism「Pretender」、BTSの「Butter」や、Adoの「踊」、あいみょん「裸の心」などが該当します。

次点で、♭3(Key:E♭&Cm)と#1(Key:G&Em)になっており、これには、DISH//の「猫」や優里の「ドライフラワー」、LiSAの「紅蓮華」等が該当する結果となりました。

2020年は、圧倒的に♭3(Key:E♭&Cm)が多い結果となり、これにはYOASOBIの「夜に駆ける」や、瑛人「香水」を初め、米津玄師「馬と鹿」、Official髭男dismの「115万キロのフィルム」が該当する結果となりました。

一方で、2019年は、#系が多い傾向にあり、最も多いのが、#3(Key:A&F#m)。これには Foorinの「パプリカ」、Official髭男dism「I Love…」、あいみょんの「ハルノヒ」、映画主題歌であるRADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」、米津玄師の「海の幽霊」などが該当します。

次点で、#5(Key:B&G#m)と#2(Key:D&Bm)がランクインしており、これらには米津玄師「Lemon」、あいみょん「マリーゴールド」、菅田将暉「まちがいさがし」等が該当する結果となりました。


かなり意外だったのは、Key:C &Am(ハ長調&イ短調)がみられなかったこと。作曲や演奏の観点からも楽曲が複雑化しているのではないかなーと感じます。最近の楽曲難しいですしね…。

クラシック時代から絶え間なく音楽が誕生していることを考えると、”似たような楽曲を生み出さない”や”クリエイター精神”という観点で、複雑化というのは仕方ないことなのかなーと思います。

楽曲のキーは心情を反映するか?

ここからは、おまけ程度なのですが、キー(調)というと、クラシック音楽では「#系は固く尖った積極的な印象」。一方、「♭系は柔らかい消極的な印象」を受けると言われています。

例えば、Key:A(#3)では、高貴な印象を与えるといわれていますし、Key:F(♭1)は平穏な印象を与えるといわれています。さらに、スクリャービンやコルサコフは、調と色彩の関係についてまとめていたりします。

これを見ると確かに、#系の方が明るい原色に近いものが多く、♭系は落ち着いた雰囲気の色彩が多いですよね。

従って、#数をプラス、♭数をマイナスとして、合計値、平均値、中央値を算出してみました。(※Key:F#とKey:G♭は同音異名で判別が難しく、集計に対するインパクトが大きいため計算からは省いています)

年代同士を比較するとこんな感じ。2019年から2021年にかけて、合計値が+29~-14、平均値が+1.0~-0.5、中央値が+2.0~-1.5と、年代を経るにつれてマイナス傾向となりました。つまり、♭系のKeyが多くなるという結果になりました。

リスナーの心情は下向き傾向?

J-POPでもクラシック音楽のような概念が”潜在的な結果”として現れているとすると、近年の楽曲全体としては、”消極的な印象”を受けるものがリスナーの心を掴んでいるのかなーと考えられます。


コロナウィルスや不景気などの日本情勢が楽曲ランキングに少なからず反映されている(?)のではないでしょうか。この辺は、それっぽい感じもしますが、まあ何とも言えないので参考程度といった印象です。

まとめ



いかがでしたでしょうか。


最近の楽曲のキーについて調べてみました。2017年と2018年も調べてみたのですが、AKB系列や韓流アイドル楽曲が多く、”音楽そのもの”の人気とは言い難いため、集計しませんでした。ご了承ください。

最後の考えられることについては、いろいろ思うことがあると思いますので、ぜひコメントよろしくお願いします。



参考になれば幸いです。



では!




ABOUT ME
だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA