音楽理論

マイナーダイアトニックコードの種類とは?【音楽理論の解説 #9】

第9回はマイナーダイアトニックコードについてです。

メジャーダイアトニックコードと同様、マイナースケールにもダイアトニックコードがあるんですね。これを使用することでアクセントの効いた曲にすることができます。


では、いきましょう!


マイナーダイアトニックコードとは?


マイナーダイアトニックコードは「マイナースケールから作られたダイアトニックコード」です。そのまんまですね。要は、メジャーダイアトニックのマイナー版なわけです。



したがって、「ナチュラルマイナー」「ハーモニックマイナー」「メロディックマイナー」の3種類それぞれに対して、ダイアトニックコードが存在します。

しかし、主に使用されるのは「ナチュラルマイナー」で、残りの2つは部分的に出てくることが多いです。


マイナーダイアトニックコードの作り方

メジャーダイアトニックコードは「3つの音を3度ずつ(一つ飛ばしで重ねる)」ことでコードを作りました。

マイナーダイアトニックコードも全く一緒です。「スケールの音を1つ飛ばしで重ねて」コードを作ります。例えば、Aナチュラルマイナーのダイアトニックコードは以下のようになります。


あとは同じですね。残りの音でもコードを作ると全部で7つのコードが出来上がります。


「ナチュラルマイナー」を例にしましたが、「ハーモニックマイナー」、「メロディックマイナー」についても同じように作ります。

マイナーダイアトニックコード機能と種類

マイナーダイアトニックコードは全部で3種類です。それぞれ特徴がありますので順番に解説していきます。ちなみに、コード機能に関しては全て同じです。

ナチュラルマイナーダイアトニック(Natural Minor Diatonic)

ナチュラルマイナースケールは、メジャースケールと構成音が同じなので、ダイアトニックコードも必然的に同じになります。ただ、マイナースケールの場合は基準の音が「ラ」なので順番が異なってくるということです。


そのため、ディグリー(相対表記)が異なってきます。基準の音から数える必要があります。例えば、3番目の「ド」から派生したコードは「♭Ⅲ」というディグリーになります。

コード機能についてはAmから順番に「T・SD・T・SD・D・T・D」となっており、これもメジャーダイアトニックコードと異なる部分です。ただ、6番目のFコードはサブドミナントとして表記されることもあり少し曖昧な感じになっています。


ナチュラルマイナーダイアトニックには1つ問題点があります。それは「ドミナントのEmコードに緊張感が感じられない」ということです。試しにAm→Em→Am(トニック→ドミナント→トニック)というコード進行を聴いてみましょう。


なんかいまいち緊張感がないんですよね。ボヤっとするというかそんな感じです。これを解決するために考案されたのが、後に紹介するハーモニックマイナーダイアトニックです。


ハーモニックマイナーダイアトニック(Harmonic Minor Diatonic)

ハーモニックマイナーのダイアトニックは以下です。


先程も少し触れましたが、ここで重要なのは、「ドミナントがEコードになっている」ことです。これこそがハーモニックマイナーダイアトニックが存在する大きな意義です。こうすることによってナチュラルマイナーにおけるドミナント→トニック進行の問題が解消されるんですね。


いかがでしょうか。ハーモニックマイナーの方が強い緊張感がありますよね。これがハーモニックマイナースケールが考案された大きな理由になります。ここをEメジャーコードにしたいがために意図的に「クセの強いハーモニックマイナースケール」を作りだしたというわけですね。ここは重要なポイントですので覚えておいてください。

残りのコードについてはなかなか見慣れないコードが多く、楽曲でもそれほど使用されません。部分的に知っておく程度で良いと思います。



メロディックマイナーダイアトニック(Melodic Minor Diatonic)

メロディックマイナーのダイアトニックコードは以下です。


これもドミナントがEコードとなっており、ナチュラルマイナーの問題を解決していますね。ただ、メロディックマイナーのダイアトニックコードはそれほど重要ではないです。

あくまでスケールでの使用を想定したものだということです。部分的に覚えておく程度でOKだと思います。


マイナーダイアトニックコード一覧

最後に3種類のマイナーダイアトニックコードの3和音と4和音についてまとめておきます。ディグリーやコード機能については3和音と全く同じになります。また、3種類を並べて比較してみると面白いと思います。

 

 

まとめ


いかがでしたでしょうか。


マイナーダイアトニックコードは3種類あるのでややこしく感じるかもしれませんが、ポイントだけを押えておくといいと思います、実際に、マイナーダイアトニックコードをすべて把握している頭に入れている人は少ないですし、楽曲で使用されることも稀です。


今回のポイントは5つ。

①マイナーダイアトニックコードは全部で3種類存在する。
②マイナーダイアトニックコードの作り方は「1つ飛ばしで」音を重ねる。
③ナチュラルマイナーダイアトニックはメジャーダイアトニックコードと同じコードにであり、ディグリーとコード機能が異なる。
④ハーモニックマイナーダイアトニックは「ドミナントの緊張感の弱さ」を解消したコードである
⑤メロディックマイナーダイアトニックは、形式上存在するが、あくまでスケールとして使用することが多く、出現することは稀である。




参考になれば幸いです。



では!

 

ABOUT ME
だっとさん
ピアノ、ギター、作曲をする音楽家。ポップス、ロック、アニソン、ボカロなどの楽曲分析、音楽理論、DTM、ギター機材関連の情報を発信! Youtubeでも動画配信しているので見てね!