米津玄師「感電」の楽曲分析です。ジャズアプローチを多用したおしゃれな雰囲気の楽曲ですが、どのようなコード進行・スケールが使用されているのでしょうか。
少し難しいかもしれませんが解説したいと思います。ぜひ、最後まで見てみてください。
使用されているコード進行
♯Ⅳm7(♭5)-Ⅳ△7-Ⅶm7(♭5)-Ⅲ7
この楽曲のキーはBメジャー。このコード進行はこの楽曲でよく使用されている進行です。AメロやBメロで使用されていますね。
パッとみた感じよく分からない進行ですね、ダイアトニックコード以外のコードばかりです。後半部分はマイナー系ツー・ファイブ進行なので難しくないですが、やっかいなのは♯Ⅳ(♭5)ですね。
このコード実は「次のコードのⅣ△7のルート音を半音ずらした」だけのコードなんですね。
鍵盤の指を1音ズラす(ギターは、1フレット)だけで弾けるので、半音隣のディミニッシュコードと同じ要領で使用できます。
音楽理論というよりは演奏面にメリットがあるアプローチですね。この楽曲ではこのアプローチが頻繁に使用されていますので、参考にしてみてください。
Ⅵm7-Ⅱ7-Ⅴ7-Ⅰ7:6251進行(循環進行)
サビ冒頭のコード進行です。ジャズの定番進行である6251進行になっています。
この進行は「循環進行」と呼ばれるもので全てのコードがドミナントモーションする形になっているんですね。
基本的にコードというのは、4度下のコードへと進行(ドミナント進行)しやすい性質を持ちます。この「ドミナントの駆動力」が「次のコードへの推進力」となって、それがまた次のコードへと進行させる…。こういったコードの流れが「循環進行」にはあるのです。
Ⅳ-Ⅴ-Ⅲm-Ⅵm:王道進行
サビの「ここぞ!」という部分で使用される王道進行。いきなりキャッチーなメロになります。前半の1小節ですね。ちなみに2小節目はツー・ファイブ・ワン進行。
曲中でも一番のハイトーンになる部分です。裏声で歌われていて、コードの移り変わりも激しくなる部分なので印象がガラリと変わっていると思います。皆さんも聴いていて好きな部分だと思います。「稲妻のように生きていたいだけ…」というように、タイトル「感電」に関連する歌詞になっています。作曲者が一番聴かせたい部分なのでしょうね。このように曲中の聴きどころでキャッチーさを一層引き立たせる「王道進行」を使用するのはかなり効果的であると思います。
混沌とする間奏部分
調性(キー)が曖昧でかなり混沌した間奏部分。少し怖い感じもするのではないでしょうか。コード進行、メロディを見てみましょう。
んー、ややこしい。あまりキー(key)という概念はないと思います。コード構成音を中心としたクロマチックアプローチでしょうか。クロマチックアプローチとは「コード構成音からズレた音を使用しても、すぐに帰って来ればOK」というものです。この楽曲の場合は、コード変わり目は必ずコード構成音へと着地する形になっていますよね。
ただ全てを和声的な解釈と紐づけて説明するのには少し無理があるような気もするので、詳しく解説しませんが、ここで重要なことは「スケールには無い”半音隣”の音を使うことで一気にミステリアスな雰囲気が出せる」ということです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ジャズの要素を取り入れたおしゃれな感じの雰囲気でしたね。なかなか米津玄師らしくない楽曲で新鮮な感じでした。
参考になれば幸いです。
では!
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