今回は、aug(オーギュメント)についてみていきたいと思います。3和音の中では一番馴染みのないコードなのではないでしょうか。
しかし、これまた使いどころがあるコードです。今回はこれについてみていきたいと思います。
Aug(オーギュメント)とは?
早速ですが、Aug(オーギュメント)についてみていきましょう。
かなり変わった響きがするコードで、ほぼ不協和音といっても過言ではありませんね。こういったサウンド感であるため、これ単体で使用するのは難しく、経過音的に使用されることが多いです。
コード構成音を見ると、全ての音が長3度の等間隔になっているコードです。
したがって、コード構成音を入れかえるだけで3つのaugコードが出来上がります。これら3つのコードは同じグループの仲間。
よって、12音÷3つ=4グループできることになります。これらがaugの特徴でdimコードと同様、シンメトリーな規則性あるコードになっています。
これを覚えておくとすぐに演奏できると思いますので、参考にしてください。
Aug(オーギュメント)の使い方
では、Augコードの使い方についてみていきたいと思います。
経過音(代表例:クリシェ)
ポップスでは一番馴染みある使い方は経過音として使用される方法です。その中でも代表的なのが『クリシェ』です。
例えば、C→Caug→C6→C7というコード進行。コード構成音の一部が半音で上行していますね。これがクリシェという用法になります。
さらに、Am→G#aug→G→F#dimというコード進行を考えてみます。
これは、ルート音が半音で下行する形になりますね。 これは『ベースライン・クリシェ』と呼ばれ、augコードが最も多く日の目をみるパターンです。この響きは誰もが聴いたことあるのではないでしょうか。
ドミナントコード(〇7)の代理
2つ目はドミナントの代理という使い方。単純にセブンスコードを○augに置き換えるだけです。
例えば、G7→Cというコード進行は、Gaug→Cというコード進行に置き換えることができます。
ドミナントからトニックに進行する場合、G7コード構成音(ファ、シ)は、それぞれ半音隣のコード講師音(ミ、ド)に解決する力が働きます。
これをGaugにした場合も同様に、Gaugコード構成音(レ#、シ)は、それぞれ半音隣のコード構成音(ミ、ド)に解決することができます。
したがって、ドミナントの代理コードとして使用できるということになります。
Blackadder Chord(イキスギコード、分数aug)
先ほど紹介した、原理を利用して生まれたのが、Blackadder Chord(イキスギコード)という使用方法で、別名:分数augといいます。
その名の通り、コード構成音にaugが含まれていますね。したがって、これもドミナント代理や経過音として使用されることが多く、すでに紹介した用法に近い要領で使用されます。
これについては別の記事や動画も出していますので、参考にしてみてください。
Aug(オーギュメント)の使用楽曲
多くの楽曲で使用されますが、ヒット曲含めて有名な洋楽についてみていきたいと思います。
Oh!Darling / The Beatles
まずは、The Beatlesの『Oh!Darling』という楽曲。これをはじめに紹介したのには理由があります。
それは楽曲の冒頭に使用されているからです。冒頭といっても本っ当の初っ端。
ギターでEaugを鳴らしてから楽曲が始まります。この場合は、次のコードがAなので、ドミナント代理として機能しています。The Beatlesは、こういった変位コードが大好きで楽曲によく使用されている印象があります。
天国への階段(Stairway To Heaven) / Red Zeppelin
さらに洋楽の『天国への階段 / Red Zeppelin』です。冒頭のギターアルペジオでG#augが使用されています。
この響きはまさしく「ライン・クリシェ」ですね。哀愁漂う切ない雰囲気が演出されています。
白日 / King Gnu
大ヒットしたKing Gnuの『白日』。コードとしては明確に鳴っていないのですが、 冒頭部分でaugに近い響きが使用されています。
この部分の内声の響きは非常に美しいので、「おっ!」となる方は多いのではないでしょうか。これは経過音的に使用されており、「クリシェ」に近い用法になっています。
宿命 / Official髭男dism
さらに大ヒット曲のOfficial髭男dismの『宿命』。サビでC#augが使用されており、非常に変わったサウンドです。
この楽曲では1小節まるまる使用されているので、響きが非常にわかりやすいのではないでしょうか。 ここは次のコードがDmですので、ドミナントの代理(A7/C#)として使用されているような気がします。
ぴゅあぴゅあハート / 放課後ティータイム
アニソンでも登場です。けいおん!の『ぴゅあぴゅあハート』のサビ部分。
これはD#aug→G#mという流れで、ドミナントの代理ですね。この楽曲も1小節まるまる使用されているので、響きがわかりやすいと思います。
言って。/ ヨルシカ
ヨルシカの『言って。』という楽曲のイントロの部分がそうです。
ギターメロと伴奏がG#augの響きになっています。(Aメロにもそれっぽいのが使用されています…) これは経過音的な役割で使用されている例になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、augについて紹介しました。なかなか癖のあるコードですが、楽曲のインパクトという意味では非常に実用性のあるコードだと言えます。
参考にしてください。
では!