今回は、コードの美しいつなぎ方についてです。前回は「コードの重ね方」いわゆる縦のラインについてやってきましたが、今回は横のラインですね。
これもピアノ、DTM、編曲などに 非常に役に立つ内容ですので参考にしてください。
コード構成音の動き
コードというのは、それ単体で完結することはほとんどなく、コード進行という流れの中で使用されます。なので、コード同士の繋げ方は楽曲を構成&演奏するうえで非常に大事になります。
それら考えるうえで重要なことが「音の動き」です。複数の音が次の音に向かうときの動きは3パターン。
こんなことは当たり前のことなのですが、音楽の世界では「並行」「斜行」「反行」という名前がつけられています。
これらを意識することが、コードを美しく繋げる第一歩になりますので頭に入れておいてください。
美しく繋げるために重要な2つのこと
では、コードを美しく繋げるために重要なことは2つです。クラシックでは他にも細かな原則や禁則があるのですが、ここでは、代表的ですぐにでも実践できるものだけ紹介します。
- なるべく近い音に繋げる
- 反対の動きになるように繋げる
どれもなんとなく聴いたことがある内容なのではないでしょうか。
1. なるべく近い音に繋げる
まずは1つ目。コード構成音が「なるべく近い音に繋がる」ようにします。
そうすると滑らかにコードが切り替わるので自然な流れになり、美しく感じるというのは何となくわかると思います。。
例えば、「F→G→C」という例を見てみましょう。何も気にせず繋げるとこんな感じ。
聴いてみるとわかるのですが、なんか”飛び飛び”になっている印象を受けるので、あまり音楽的ではないですよね。まさしく”ベタ打ち”という感じ。
次は、コード構成音がなるべく近い音に繋がるように意識した例です。
こちらの方がスムーズでしっくりくるような印象がありますね。コード進行が無理なく繋がっているという感じです。
これがコード美しく繋げるために重要なことの1つ目です。
もっと詳しくいうと、コードの中に「共通する音がある場合は、そのまま保持して」、残りのものは「なるべく近い音」になるように繋げます。
たったこれだけなのですが、これを意識するだけで、コードの繋げ方はある程度定まってしまいます。
これを、もっともっと厳密に追求していったのがクラシック理論(和声学)ですね。
ただ、現代の音楽はもっと自由なイメージなので、これぐらいの緩い縛りで十分だと思います。
2. 反対の動きになるように繋げる
さきほど、音の動きについて「並行」「斜行」「反行」というものを紹介しましたが、音楽の世界では、もっぱら「反行」が好まれます。
さっきの「F→G→C」という例を見てみましょう。
何も意識しない方だと、全ての音が同じ動きをしているので、あまりコードの流れに面白さがないです。誰しも最初のうちはこのようになりがちです。ストリングスの音源を聞くとわかりやすいかもしれません。
一方で「反行」を意識した例はどうでしょうか。上行と下行の2つのメロディが聴こえてきますし、音に広がりがある印象ですよね。
もう1つ極端な例をあげておきます。「C→G→Am→F」というLet it be進行(ポップパンク進行)。
これをてきとー。に弾いてみるとこんな感じ。これはあまりよくないですね…。
これを「反行」をめちゃくちゃ意識して重ねるとこんな感じ。転回形も駆使してThe・反行です。
どんどんサウンドに広がりが出てくる感じになりますよね。ストリングスで聴いてみると、どんどん壮大な雰囲気になるのがよくわかるのではないでしょうか。(ダイナミクスが感じられる)
したがって、コードを繋げる際はなるべく”反対方向に動く”という意識を持つといいです。一番上の音(ソプラノ)と、一番下の音(ベース)だけでも意識してみるといいかもしれませんね。
DTMをやっている人は、一度ピアノロールを見てみてください。あまりにも同じ方向に音が向かっているようなら、修正してあげるといい感じに仕上がることが多いかもしれません。
初めのうちは、少し難しいかもしれませんが、慣れてくると作りながら自然にできるようになると思います。参考にしてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、コードを美しく繋げるにあたって重要な2つのことについて紹介しました。これだけでもかなりレベルアップする思いますので、覚えておいてください。
もちろん、自分の気のすむままやるのも全然OKです。あくまで1つの指針として頭に入れておいてください。
参考になれば幸いです。
では。