今回は、機関車トーマスのテーマ曲について話してみたいと思います。
YouTube動画やサイトでも取り上げられることの多い曲ですが、これについて音楽理論的な観点から話をしているものをあまり見つけられなかったので取り上げたいと思います。
トーマスのテーマ曲の頻繁な転調
機関車トーマスのテーマ曲を聴いてると、ふと不穏な感覚に陥ります。(聴いたことのない方は一度聴いてみてください。)
「あれ、なにこれ?」
そう。この楽曲、かなり頻繁な転調が行われています。
頻度の高い箇所では、1フレーズ毎に転調しており、これがどこか不気味で不穏な雰囲気を醸し出しているというわけですね。
珍しい転調:長3度(短6度)
この楽曲、かなり頻繁に転調しているのですが、なにもデタラメな転調を繰り返しているわけではありません。ある一定の規則性を持って転調しています。
それが『長3度(短6度)』の転調です。
これ実は、かなり珍しい転調で、ポップスではそうそう見かけるような転調ではありません。
一般的に転調というと、関係調とよばれる関係の深いキー同士の転調がが多いです。
例えば、『同主調(Parallel Key)』や『属調(Dominant Key)』などですね。関係調でなくても、比較的近い位置にある『半音』『全音』もよく見かける転調になります。
しかし、この楽曲では比較的、関係性のうすいとされている長3度の転調が使用されている点がかなり面白いですね。
ポップスでの使用楽曲をあげるのであれば、『Butterfly/木村カエラ』なんかが有名ですよね。また、最近では『怪物/YOASOBI』のラストサビでも使用されていたりします。
ぐるりと回って戻ってくる:長3度(短6度)の特徴
長3度の転調は、幾何学的(数理的)にもかなり面白い転調です。
音楽の12個すべてのキーを5度関係でまとめた『5度圏』をみてみるとわかりやすい。
Key:C(ハ長調)を出発点として、長3度転調すると、Key:A♭(変イ長調)になりますよね。
そして、これをもう一度、長3度転調すると、Key:E(ホ長調)。
さらに、転調すると、あら不思議。もとの出発点であるKey:C(ハ長調)に戻ってくることができるんですね。
これがこの転調の面白いところです。3回同じ転調を繰り返すことで、ぐるっと一周まわって戻ってくるのです。
角度でいうと、ちょうど120°で3分割されていて、幾何学的にはかなり規則的な調関係にありますよね。
先程、音楽理論的にはあまり関係性がうすいと言いましたが、こうした観点から考えてみるとなかなか関係性が深い調関係ともいえるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、少し気色を変えてトーマスのテーマ曲について取り上げてみました。こういった何気ないテーマ曲にも珍しい転調が使用されていて面白いなーと感じました。
参考になれば幸いです。
では!